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SoC FPGA vs プロセッサ+FPGA どちらが有利?

様々なアプリケーションでシステムの中核を担うSoC FPGAですが、一部でプロセッサ+FPGAといった旧来の形態に回帰する動きも出てきています。

SoC FPGAのメリット、デメリットとあわせてどのような理由によりプロセッサ+FPGAが選択されているのか解説し、デバイス選定のポイントについて紹介します。

東京エレクトロンデバイスでは豊富な開発経験をもとにお客様のシステムに最適なプロセッサ、FPGAのご提案をさせていただきます。

 

 


 

SoC FPGAを取り巻く環境と今後の展望

2011年、 Xilinx社(現在のAMD社)がプロセッサをハードブロックとして搭載したSoC FPGAファミリであるZynq-7000シリーズを発表しました。

今でこそプロセッサ搭載のFPGAは一般的なデバイスとなり、市場での実績も非常に多くなりましたが、リリース当初はソフトウェア設計とハードウェア設計の統合により今までとは異なる開発フローが要求されること、また主要デバイスを1チップにまとめることでのリスク管理の難しさなどを理由に、市場への導入はなかなか進みませんでした。

しかし、プロセッサ、FPGAをワンチップで実現できるという設計上のメリットやコストへの影響も大きく、徐々に市場に受け入れられていきます。
現在ではプロセッサ、FPGAの性能がさらに進化し、高速Serdes技術、信号処理、AIエンジンなど多岐にわたる機能をハードブロックとして実装することが可能となり、高機能が要求される5G基地局やADASの中核を担うことも珍しくなくなりました。SoC FPGAの市場としては今後もさらなる拡大が見込まれています。


 

SoC FPGAのメリット、デメリット

SoC FPGAは以下のようなメリットがあり、前述のとおり順調に市場を拡大しています。

  • 1チップ化による高集積化
  • プロセッサ-FPGAの接続が内部バスで実現できるため高速
  • プロセッサのオフロード用途に最適

しかし、一方でリリースから10年以上が経過したSoC FPGAに対して設計の現場では以下のような課題に直面しています。

  • 後継のSoC FPGAがリリースされており、現行品にEOLの不安がある
  • 後継製品は大幅に高機能化されるため、単純な置き換えには適さない
  • 消費電力が大きくなる、3.3V I/Oが不足するという問題もある

これらの問題を回避するために一部でプロセッサ+FPGAといった旧来の形態に回帰する動きも出てきています。SoC FPGAからプロセッサ+FPGAに分離することでそれぞれが適切な機能、サイズを選択できるため過不足のないデバイス選定が可能となります。

しかし、SoC FPGAのメリットも非常に大きく、どちらの構成をとるかが設計者を悩ませる問題となってきています。

SoC FPGA プロセッサ+FPGA
高集積化
1チップであるため
省スペース化が可能
×
チップ間接続、周辺部品がそれぞれに必要となる
柔軟性 ×
デバイスの
選択肢が限られる

それぞれ適切な仕様の
チップを選択可能
プロセッサと周辺間の接続、速度
チップ内接続のため高速
×
基板上での接続が必要
熱設計 ×
消費電力が集中するため
発熱が問題となりやすい

チップが分かれているため熱設計が比較的容易

 


 

プロセッサ+FPGAの組み合わせによるデバイス検討

それでは具体的にSoC FPGAとプロセッサ+FPGAではどのような構成が考えられるでしょうか。NXPのプロセッサを例に検討してみます。

Case1:Cortex-A9内蔵 SoC FPGA からの置き換え検討

初代のSoC FPGAに搭載されているプロセッサコアはCortex-A9ですが、現在Cortex-A9を搭載したプロセッサは旧製品が中心となるため、同等性能のコアが搭載された新製品が推奨されます。

NXPのi.MX RTクロスオーバーMCUシリーズには、最大1GHzで動作するCortex-M7コアを搭載した製品があり、アプリケーションプロセッサ(Cortex-A9クラス)に迫る高い処理性能と、リアルタイム応答性を両立しています。

また、豊富なペリフェラルを備えており、用途に応じた柔軟なデバイス選定が可能です。LinuxなどのOSを使用しないシンプルな構成でも高性能なアプリケーションを開発できます。

FPGAの回路規模も大規模化の必要がないのであれば各FPGAサプライヤの小規模FPGAに様々な新製品のラインアップがあります。AMD Spartan UltraScale+、Altera Agilex-3、Lattice CertusPro-NXなどが候補となり、幅広い選択肢からの選定が可能となります。

 

Case-2: Cortex-A53内蔵 SoC FPGA からの置き換え検討

後継製品であるCortex-A53内蔵 SoC FPGA はプロセッサだけではなく、FPGAの機能としても大幅に高性能化されているため、今まで以上に様々なシステムへの適用が進んでいます。今後もますますシステムの中心として存在感を増していくことが予想されます。この場合についても分離した構成の検討をしてみます。

NXP i.MX8MファミリーではCortex-A53を1/2/4コアを搭載している製品ラインアップがあり、信号処理エンジンやグラフィック処理も可能な高機能なプロセッサファミリです。様々な機能、インターフェースを搭載しておりますので、多様なアプリケーションへの適用が可能です。

FPGAの中規模以上のFPGAには様々なハードIPを搭載されたFPGAがありますので、ご設計のシステムにあわせた選択が可能となります。同規模ではAMD Kintex UltraScale+、Altera Agilex-5、Lattice AVANT-Gが候補となりますが、もちろんそれ以外のFPGAから選定することもできますので、自由度の高い設計を行うことができます。

 


 

東京エレクトロンデバイスの取り組み

東京エレクトロンデバイスは、FPGA開発を中心とする設計開発を得意としており、Altera®, Lattice, AMDいずれのFPGA開発でも対応します。

また、当社はより良い製品を提供するために、リーディング・パートナーであるAltera® FPGA、NXP Semiconductors、AMDとパートナー契約を結んでおります。これらのパートナーと緊密に連携することにより、高い技術力を提供します。

SoC FPGAとプロセッサ+FPGAのどちらを選ぶかはシステムの仕様により最適な構成が変わってくる、非常に難しい問題です。さらにコスト、長期供給性なども考慮するとさらに検討が複雑になります。東京エレクトロンデバイスでは豊富な開発経験をもとにお客様のシステムに最適なプロセッサ、FPGAの選定や受託開発のご提案をさせていただきます。

 

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