製品・サービス
PCIe接続アクセラレータカードの開発
PCIe接続アクセラレータカードの開発から基板製造まで
AI、クラウドの性能増加に伴い、エッジサイドでの画像処理に対して高解像度、高速転送のニーズが非常に大きくなっています。そのため、カメラからの映像データをPCへ転送する前に、画像処理や判定処理を行うアクセラレータカードには大きな期待が寄せられています。東京エレクトロンデバイスは、長年の画像処理装置の設計・受託サービスで蓄積したPCIe接続カード開発のノウハウを基に、お客様が抱える課題を解決いたします。
アクセラレータカードとは
アクセラレータカードは、コンピュータシステムに追加して利用される拡張カードの一種です。これらのカードは、特定のタスクや処理を高速化するために設計されています。一般的なアクセラレータカードの例には、グラフィックスカード(GPU)、AIアクセラレータ、ネットワーキングカード、暗号化カードなどがあります。
以下に、いくつかの一般的なアクセラレータカードの種類とそれぞれの役割について説明します。
カードの名称 | 特徴 |
---|---|
グラフィックスカード(GPU) | 主に3Dグラフィックス処理や映像の描画を担当しますが、近年では一般の計算処理(GPGPU)にも利用されます。特に機械学習の分野では、GPUが大規模な行列演算を高速に処理するために広く使用されています。 |
AIアクセラレータ | 人工知能や機械学習のタスクを高速に処理するために設計されています。例えば、NVIDIAのTensor CoresやGoogleのTPU(Tensor Processing Unit)などがあります。 |
ネットワーキングカード | データの送受信や通信プロトコルの処理を高速化するために使用されます。特にデータセンターやハイパフォーマンスコンピューティング環境で重宝されます。 |
暗号化カード | データの暗号化や復号化を高速に行うためのカードです。セキュリティ関連のアプリケーションや通信に利用されます。 |
ストレージアクセラレータ | データの読み書き速度を向上させるために利用されます。例えば、SSDのキャッシュやキャッシュコントローラがあります。 |
グラバーボード | コンピュータ ビジョンシステムのコンポーネントとして使用されます。画像の保存、送信、分析、解析を行い処理結果を後段へ転送します。 |
FPGAで構成するメリット
アクセラレータカードにFPGAを活用するメリットとして柔軟性、低レイテンシ、および特定のアプリケーションに対する最適化能力にあります。下記はGPGPUとFPGAの複数チャネル演算処理に関する比較となります。
GPGPUの場合
FPGAの場合
GPGPUは一般的に大規模な並列処理に特化しており、演算コアの数だけ信号処理においても高い性能を発揮します。例えば、画像処理や音声処理において広く使用されています。
FPGAはリアルタイム信号処理に適しており、特に低レイテンシや高い帯域幅が求められるアプリケーションで利用されます。例えば、通信インフラストラクチャやレーダーシステムなどが挙げられます。
総合的に言えば、GPGPUは大規模な並列処理において高い演算性能を提供しますが、FPGAは柔軟性が高く、特定のアプリケーションに最適化された処理を実現できる点が異なります。処理能力を比較する際には、アプリケーションやタスクに対する要件に基づいて選択することが重要です。
グラバーボードとは
近年、デジタルカメラ、車載カメラ、産業用マシンビジョンなど幅広い用途でイメージセンサの需要が今まで以上に拡大しています。それにともない、映像システムへの要求仕様も時代を追うごとに高性能化が進んでおります。
例
- 色深度:RGB 8bit → 12bit
- 解像度:FullHD 1920×1080 → 4K 3840×2160
- フレームレート:30fps → 60fps
また映像データを転送するためのインターフェイスのトレンドも、イメージセンサの高性能化にあわせて変化しています。
- 伝送ライン本数を削減
- 伝送ライン1本あたりの伝送帯域の高速化
- 差動信号採用による低電圧化、消費電力の低減
フレームグラバーは、アナログ ビデオ信号またはデジタル ビデオストリームから個々のデジタル静止フレームをキャプチャ (つまり、「グラブ」) する電子デバイスです。通常、コンピュータ ビジョンシステムのコンポーネントとして使用され、ビデオ フレームがデジタル形式でキャプチャされ、表示、保存、送信、分析、またはこれらの組み合わせが行われます。
アプリケーションとして製造業向け検査装置、FA系ロボット、ヘルススケアに応用されます。
全体のスループット向上を目標とする場合、カメラ~PCまでの帯域より、仕様を検討することになりますが、ポイントとして下記の3点があげられます。
- カメラからの画像入力フォーマット
- フレームバッファへのデータ格納容量/帯域
- PCへ画像データの伝送量
ネットワーキングカードの応用例
ネットワーキングカード(Network Interface Card、NIC)は、コンピューターがネットワークと通信するための不可欠なコンポーネントです。異なるネットワークプロトコル(例:TCP/IP、UDP、Ethernetなど)をサポートし、これらのプロトコルに基づいてデータの送受信を行う必要があります。
近年、ネットワーク伝送は低レイテンシ化・高帯域化が進み、ネットワーキングカードには高性能なパケット処理と高速なデータ処理が求められています。
これらのニーズに対し、FPGAはハードウェアレベルでプログラム可能であるため、ネットワーク環境毎にパケットフィルタリングやロードバランシングなどの最適化を実施し、大量のネットワークデータを高速かつ効率的に処理することが可能です。
また、カスタム通信プロトコルのサポート、異なるイーサネット速度のサポートなど仕様変更が発生した際に、FPGAは柔軟にプログラム可能であり、異なる通信プロトコルやイーサネット速度に対応できます。これにより、新しい通信規格が導入された場合や、特定の要件に合わせて通信プロトコルをカスタマイズする際に非常に有用です。
FPGAを使用したネットワーキングカードの構成例
まとめ
これまで見てきたようにFPGAを使うことでアプリケーションへの最適化、パフォーマンス、消費電力をバランスよく構成することができます。FPGAを使用する際には開発者の適切なスキルや経験、プロジェクトの要件に合った専門知識を持つパートナーを選ぶことが成功に向けた鍵となります。
当社では標準的なPCIe接続のアクセラレーターカードの受託開発にてお客様の要望にお応えする個別のご提案を承っております。仕様抽出から詳細設計、基板開発に至るまでご支援することができます。