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生産現場 計測・検査

【画像処理マスターへの道】
高精度位置決めリベンジ報告
~めざせ、サブミクロンを1回で~

画像処理に関するさまざまな情報をお届けする連載です。
前回の超精密XYθステージとの組み合わせによる高精度位置決め実験のリベンジ実験を行ってきましたので、今回はその結果をご紹介します。

 

 


 

はじめに

近年、半導体の後工程プロセスの微細化が進み、正しい位置で加工するための位置合わせにも1μm以下のサブミクロン単位の精度が求められるようになってきています。
これらの精度要求の高まりに対してサブミクロンの位置決めの実現性を確認すべく実証実験に取り組んでおります。

前回の実験では、通常版のステージと超精密のステージとで有意差を見出すことができましたが、位置決めまでの収束回数の面では、超精密XYθステージのスペックからすると物足りない結果でもありました。
前回に引き続いてステージメーカであるヒーハイスト株式会社様にご協力いただき、実験環境の改善を行った上で、リベンジ実験を行うことができました。ご多忙のところご協力をいただきましたこと、御礼申し上げます。

前回の結果

  • ステージの移動量と画像内の移動量の高い相関を確認
  • 超精密XYθステージNAHFW3C-16の通常版ステージNAF3C-16K00に対する有意差を確認

前回の課題

  • 静止状態のサーチ安定性(カメラの固定の不十分さ)

今回の目標

  • 超精密XYθステージで1μm以下のサブミクロン単位の位置合わせを1回で実現

 

 


 

実験環境

前回と同じくステージはヒーハイスト株式会社様にご用意いただきました。また、実験環境についてもヒーハイスト株式会社様の出荷検査場をお借りして、治具の製作や振動対策などにもご協力をいただいています。

パーツ パーツ詳細 備考
ステージ

ヒーハイスト社製 超精密XYθステージ NAFHW3C-16

光学系

25M GigEカメラ、6倍テレセントリックレンズ

分解能:0.417μm/pix

位置決め装置

当社製FV-alignerII(UNTタイプ)

モーションカード搭載

実験環境 ヒーハイスト株式会社様 出荷検査場 振動対策(後述)

実験環境の様子

写真:実験環境の様子

 

超精密XYθステージ NAFHW3C-16

特許取得済みの予圧型ダブルスライド構造にクサビ式機構とアクチュエータ配置、耐負荷設計により高剛性と高精度、高追従性を両立した超精密ステージです。通常版のNAF3C-16K00とのスペック比較抜粋は次表の通りです。
超精密XYθステージ
NAFHW3C-16
精密XYθステージ
NAF3C-16K00
絶対位置決め精度 XY軸:3μm
θ軸:12sec
繰り返し位置決め精度 XY軸:±0.35μm
θ軸:±1.5sec
XY軸:±0.7μm
θ軸:±2.5sec
ロストモーション XY軸:0.70μm
θ軸:3sec
XY軸:2μm
θ軸:7sec
追従性 50nm

ヒーハイスト株式会社様製品ページ:超精密ステージ HWシリーズ超精密XYθアライメントステージ

 

位置決め装置FV-alignerⅡ

 

画像による位置合わせ・アライメントに特化して手間なしを追求した専用装置です。
カメラでマークを検出し、目標位置と対象ワークのズレ量を計算し、ステージを動かして対象ワークを目標位置に移動します。
独自のキャリブレーション方法や位置の合わせ込み方法による高精度と、さまざまなステージ構成やカメラ配置、対象に応じたアライメント計算方法を選択するだけで立ち上げ可能な手間なしも両立します。また、ユニットタイプではステージ制御までを完結できることも特徴です。
製品ページ:https://www.inrevium.com/product/fv-aligner/

 


 

実験結果

次の2つの内容をご紹介します:

  1. 静止状態のサーチ安定性
  2. アライメントの収束回数

1.静止状態のサーチ安定性

ステージを静止した状態でマークの検出を繰り返し、検出された位置の統計量を解析します。検出するマークは静止しているはずですので、分散はゼロになることが期待されます。

前回は3σで±2画素から±6画素程度のバラツキが見られましたが、今回は約0.2画素に抑えることができました。今回のカメラ固定を含む環境改善の効果が見られています。前回から1桁以上の改善ができましたので、アライメントの収束回数にも期待が持てる結果です。(0.2画素は分解能で換算すると約0.083μmに相当します。)

カメラCH0
X方向
カメラCH0
Y方向
カメラCH1
X方向
カメラCH1
Y方向
前回 1.492 2.234 1.593 4.643
今回 0.133 0.065 0.048 0.060

2.アライメントの収束回数

ランダムな位置からアライメントを行い、整合判定規格(目標位置とのズレ量の許容値)を厳しくしていったときのアライメント完了までの収束回数をカウントします。位置決め装置FV-alignerⅡのオートアライメント機能を使用し、アライメント手法は2マーク対応点(本実験では目標位置は2つのカメラのそれぞれの中心を設定)を使用します。アライメント動作の概要は次の通りです。

① 対象ワークのマークを検出
② 目標位置に対するズレ量(位置と傾き)を算出
③ ズレ量が事前に設定した整合判定規格未満であればOKで終了
④ 整合回数が事前に設定した上限を超えていたらNGで終了
⑤ ステージ移動量を算出してステージを移動、①に戻る

2マーク対応点(目標位置:カメラ中心)のイメージ図
白い丸マークをカメラ中心(赤色十字)に合わせていく

前回は1μmのアライメントに約90%は2回以上の収束動作が必要でしたが、今回は1μmも全て1回で収束できており、大幅な改善が見られました。

今回の結果まとめ

  • 0.9μm以上:1回(画素分解能の約2倍)
  • 0.2μm以上:2回以内(画素分解能の約半分)
  • 0.04μm以上:5回以内(画素分解能の約1/10)

整合規格に対する収束回数(今回の結果)

整合規格に対する収束回数(今回の結果)

前回との比較詳細
整合規格に対する収束回数(前回と今回の比較)

整合規格に対する収束回数(前回と今回の比較)

前回からの改善点

前回の実験では超精密XYθステージの位置決めまでの収束回数がスペックからすると物足りない結果となってしまい、その原因は静止状態のサーチ安定性の低さ、つまりカメラの固定方法を含む振動対策が不十分だったことと推測しました。
そこで、今回のリベンジ実験では徹底的な振動対策を施しました。

  1. カメラとレンズの固定方法
  2. ネジ穴付きエア除振台の導入、防振の徹底
  3. 風防カバーの追加

1.カメラとレンズの固定方法

前回はカメラのみを手動ステージに固定していましたが、手動ステージに遊びがありました。ケーブルを固定はしていましたが、ケーブルを強く引っ張ると目に見えて視野が移動してしまうような状況でした。
そこで今回はネジ固定できる手動ステージを使用することで手動ステージの遊びを無くしました。またレンズの長さも長いことから、レンズ先端もフレームに固定できる治具を追加製作いただきました。

カメラ固定治具とネジ固定付き手動ステージ

カメラ固定治具とネジ固定付き手動ステージ

レンズ先端の把持とフレームへの固定

レンズ先端の把持とフレームへの固定

 

2.ネジ穴付きエア除振台の導入、防振の徹底

前回は定盤の上で実験を行っていましたが、カメラを取り付けたアルミフレームやステージなどは定盤の上に置いているだけで固定されているわけではありませんでした。
そこで今回はエア除振台を導入することで外部からの振動を抑制すると共に、カメラを取り付けたアルミフレームとステージをエア除振台に固定することで、カメラとステージの相対的な位置関係を一定に保つようにしました。
更に、作業者を含む最小限の機材以外を、エア除振台を置いた床と切り離された床に退避することを徹底しました。

エア除振台

エア除振台

 

エア除振台へのアルミフレームとステージの固定

エア除振台へのアルミフレームとステージの固定

作業エリアの切り離しの徹底

作業エリアの切り離しの徹底

 

3.風防カバーの追加

床からの振動の対策の他、温度を一定に保つ空調の影響による微小な振動も低減するべく、風防カバーも追加しました。
風防カバーの追加

画像の右手方向にある空調の吹き出し口からの風の影響を低減

まとめ

今回はヒーハイスト株式会社様のご協力を得て実施した高精度位置決めリベンジ実験の結果をご紹介しました。
徹底した振動対策により目標の「めざせ、サブミクロンを1回で」を達成することができました。前回の心残りであった超精密XYθステージのスペックを引き出し切れていないであろう結果に対して無事にリベンジを果たすことができ、ほっと胸を撫で下ろしています。

前回の結果

  • ステージの移動量と画像内の移動量の高い相関を確認
  • 超精密XYθステージNAHFW3C-16の通常版ステージNAF3C-16K00に対する有意差を確認

前回の課題

  • 静止状態のサーチ安定性(カメラの固定の不十分さ)

今回の目標

  • 超精密XYθステージで1μm以下のサブミクロン単位の位置合わせを1回で実現

今回の結果まとめ

  • 0.9μm以上:1回
  • 0.2μm以上:2回以内
  • 0.04μm以上:5回以内

1μmを1回でアライメントできるところを目撃したときには、一同歓声を上げたものでした。0.2μmでも2回以下でアライメント完了していて、どこまでいけてしまうのか驚きを越え始め、0.01μmで10回以上となったときにはむしろ「さすがに無理だよな」と逆に謎の安心感が生じたほどでした。
改めて、サブミクロンオーダーでの検証における環境整備の重要性を再確認することができました。

さて、当社では位置決め装置FV-alignerⅡ本体に加えてカメラやレンズなどの光学系の選定やステージのご提案なども行ってまいりました。今回の実験を通して、改めてサブミクロンの位置合わせを実現できる確信を深めることができました。
今後は、今回の経験を活かして実績のある光学系とステージ、環境の留意点など、更に踏み込んだご提案をしてまいります。任意の台数の任意のカメラ配置や、多様なアライメント方式、多様なステージの軸構成などにも対応しておりますので、お気軽にご相談ください。

謝辞

実験にあたって、ステージと実験環境としての出荷検査場のご提供に加えて、今回の目標達成のカギとなったカメラ固定治具の改善やエア除振台、風防などの環境整備ではヒーハイスト株式会社様の多大なるご尽力をいただきました。今回の実験にも前向きに快くご協力いただきましたヒーハイスト株式会社の皆様に、厚く御礼申し上げます。

 


 

お客様プロフィール

会社名
ヒーハイスト株式会社
所在地
〒350-1151 埼玉県川越市今福580番地1
設立
1962年7月19日
代表
尾崎 浩太(代表取締役社長)
お問い合わせ先:
TEL:049-273-7000
FAX:049-273-7001
Contact:https://www.hephaist.co.jp/com/ask.html
WEBサイト
https://www.hephaist.co.jp/


お客様の声

このたびは実証検証の機会をご提供いただき、誠にありがとうございました。
本検証を通じて、サブミクロン1回アライメントを実現できたことを大変嬉しく思っております。
また、御社のカメラ測定による評価を実施いただいたことで、社内でのステージ評価試験のみでは得られない有益な知見を得ることができました。
本検証結果を踏まえ、今後もサブミクロン以下の精度要求に応えられるステージ開発に継続して取り組んでまいります。
 

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