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医療機器の設計、それじゃ危ない!
開発初期に絶対押さえるべき3つの鉄則
医療機器の設計・開発は、一般的な製品開発とは異なり、人命に関わるリスクを考慮した設計と厳格な品質管理が求められます。
特に、安全性と市場導入のスムーズさを両立するためには、設計初期から「3つの重要ポイント」を押さえておくことが不可欠です。本記事では、以下のの3つのポイントに絞って解説します。
・医療機器設計で最も重要なリスクマネジメントの考え方
・QMS・ISO13485など、品質管理の必須要件
・設計から市場導入までの実践的なプロセス
目次
医療機器の設計で考慮するべきこと
医療機器の設計では、以下の点を考慮することが重要です。
- 製品仕様の求める性能を満たすこと
- 革新的な新機能の搭載
これらは医療機器に限らず、新たな製品を開発する際に不可欠な視点です。しかし、それだけでは医療機器の設計・開発としては不十分です。
医療機器の設計で忘れてはならないこと
民生品と比べ、医療機器は「人命に関わるもの」であるという大前提があります。
直接的に人命に関与しない場合でも、間接的に影響を及ぼす可能性があるため、設計・開発の段階で十分なリスク評価が必要です。特に「人命に大きく影響しない」と判断した場合でも、その裏に潜むリスクを慎重に考慮しなければなりません。
医療機器の設計で必要な考え方
医療機器は最終的に人命に関わる可能性があるため、単に仕様を満たすだけでなく、以下の要素を組み合わせる必要があります。
- 仕様・性能を満たす設計・開発業務
- 設計・開発の管理
- リスクマネジメント
これらの要素が統合されることで、初めて医療機器の設計として成立します。
医療機器 設計・開発の管理
医療機器の設計・開発には、日本ではQMS省令、国際的にはISO13485といった国際規格が適用されます。これにより、製造だけでなく設計・管理の徹底も求められます。
例えば、設計・開発時には図面や書類を適切に作成し、関係者がレビュー・承認することが必要です。これにより、設計者の独断ではなく、多角的な視点からの確認が行われます。
また、設計・開発の検証内容を細かく記録し、繰り返しレビューを行うことで、安全性を高めることができます。このプロセスの積み重ねが、安全な医療機器の設計・管理を実現する鍵となります。
医療機器 設計・開発のリスクマネジメント
医療機器の設計・開発では、リスクマネジメントが不可欠です。製品には、目に見えるリスクと見えないリスクが存在し、それらを適切に評価し設計仕様に反映することで、人命に対する安全性が確保されます。
リスクマネジメントの活動の概要に関しては、以下の内容となります。
- 医療機器に関連するハザードを特定する
- リスクの推定/リスク評価/リスクコントロールの実施/リスクコントロールの検証/残留リスクが受容可能かの評価
- 医療機器のライフサイクル全ての段階に適用
これらの考え方のベースは、JIS T 14971:2020 箇条4.1 リスクマネジメントプロセス 図1よりリスクマネジメントの活動概要に示されています。
JIS T 14971: 2020 箇条4.1 図1 リスクマネジメントプロセスの概略図を参考に記載
リスクマネジメントを繰り返し実施することで、必要な要件を抽出し、具体的な設計仕様へと落とし込み、課題を解決していきます。
また、これらのリスクマネジメントの活動は、医療機器の薬事申請においても求められるため、市場導入の上でも重要なプロセスとなります。
ただし、以下の内容はリスクマネジメントの範囲には含まれません。
- リスクの受容可能性の判断基準
- 医療機器使用時の臨床判断
これは、使用環境やメーカーの方針によって異なるため、一律に定めることができないためです。そのため、リスクマネジメントは単なる機械的なプロセスではなく、メーカーの考えや意思に基づき、柔軟に運用する必要があります。
まとめ
医療機器の設計・開発は、技術的な側面だけでなく、品質管理やリスクマネジメントを含む包括的なプロセスが求められます。特に、人命に関わる製品であるため、安全性の確保は設計の根幹となります。
本記事では、医療機器の設計における基本的な考え方や必要な管理手法について解説しました。設計・開発の初期段階からリスクマネジメントを組み込み、適切なプロセスを踏むことで、安全で高品質な医療機器の開発が実現できます。
東京エレクトロンデバイスでは、医療機器開発の各プロセスにおけるご支援が可能です。要件定義、リスクマネジメント、品質管理の最適化など、医療機器開発の各フェーズでのサポートを提供し、貴社の製品がスムーズに市場導入されるようお手伝いいたします。ご相談がございましたら、ぜひお気軽にお問い合わせください。