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NXPマイコンとZephyrで実現するスケーラブルな組込み開発

設計現場のこんな課題に、「Zephyr」という選択肢

製品ラインアップをローエンドからハイエンドまで展開する際、マイコンとプロセッサで開発環境やソフトウェア資産が分断され、開発工数・保守負担が膨らみがちです。

  • 「機種ごとにRTOSやドライバを作り込んでいる」
  • 「将来のマイコン変更で移植コストが読めない」

そんな課題に直面していませんか?

オープンソースRTOSであるZephyrは、こうした課題に対する有効な選択肢となります。

本記事では、NXPのArm®ベース製品(MCXシリーズ、i.MX RTシリーズ、i.MXシリーズ)にZephyrを組み合わせることで得られる、次のようなメリットを軸にご紹介します。

NXP×Zephyr で得られる主なメリット

  • 共通の開発モデルでマイコン⇔プロセッサをシームレスに展開でき、ソフトウェア資産を再利用しやすい
  • NXPはZephyr Project設立時からのプラチナメンバー。対応デバイス・評価ボードを継続的に拡充
  • EdgeLock®等のセキュリティ資産とZephyrのSBOM生成・セキュアブートにより、CRA・JC-STAR対応を後押し
  • 無償のMCUXpresso for Visual Studio CodeでZephyr開発環境を素早く立ち上げ可能

 


 

Zephyrとは

Zephyrの概要

Zephyr OSは、組込みシステムやIoTデバイス向けに設計されたオープンソースのRTOS(リアルタイムオペレーティングシステム)です。

リソース制約のあるデバイス向けに設計されており、デバイスを想定し、軽量性、柔軟性、拡張性を備えています。

Arm® Cortex®-M/R/A、x86、RISC-V、Xtensaなど複数のアーキテクチャに対応し、必要な機能だけを選択して組み込めるモジュール構造を採用しています。

Zephyrの主な特長

  • 小さなフットプリント:最小構成で約8KB Flash、約5KB RAMから動作可能
  • 高いスケーラビリティ:小規模なセンサーノードからマルチコアシステムまで幅広く対応
  • 柔軟なカスタマイズ性:必要な機能のみを選択して組み込めるモジュラーアーキテクチャを採用
  • セーフティ/セキュリティ対応:各種認証取得を考慮した設計により、高信頼性システムの開発を支援
  • オープンソースソフトウェア:Linux Foundationのもとで運営されるオープンソースプロジェクト。NXPをはじめとする多くの半導体メーカーが参画し、Apache License 2.0を採用
  • 充実したエコシステム:GitHubやコミュニティを中心に活発な開発が行われており、豊富なミドルウェアや開発ツールを利用可能。NXPもダウンストリームリリースを提供

オープンソースRTOSとしての特徴

Zephyrでは、ハードウェア構成をDevicetree、ドライバや通信スタックなどのソフトウェア構成をKconfigで設定します。ハードウェア依存部分とアプリケーションを分離しやすいため、ソフトウェア資産の再利用や別デバイスへの移植を進めやすい設計です。

また、POSIX準拠を意識した仕組みを持ち、Linuxに近い開発スタイルを取り入れながら、RTOSに求められる軽量性を利用できます。

また、Zephyrは商用利用しやすいApache License 2.0 を採用しています。ソフトウェアの利用、改変、再配布が認められており、自社製品へ組み込み易いライセンス形態です。その為、商用製品への適用を検討し易いライセンス形態となっています。

セキュリティ

Zephyrでは、脆弱性管理やセキュリティ評価を継続的に実施する体制が整備されています。

また、セキュアブートやメモリ保護機能、SBOM生成機能などもサポートしており、近年重要性が高まる欧州CRA(Cyber Resilience Act)や日本のJC-STARなどを考慮した製品開発を支援します。

Linux Foundationとの関係

Zephyr ProjectはLinux Foundationのもとで運営され、複数の半導体メーカー、ソフトウェア企業、ツールベンダーが参画しています。特定のベンダーだけに依存しない協調的な開発体制が、継続的な機能追加や幅広いハードウェア対応を支えています。

 


 

Zephyrを採用するメリット

マルチベンダー対応

共通のOSと開発モデルを用いることで、製品要件に応じてマイコンやボードを選択しやすくなります。単一ベンダー固有の実装に寄せすぎず、将来の製品展開やデバイス変更を考慮した設計が可能です。

豊富な通信スタックをサポート

Zephyr Projectでは多くの評価ボードがサポートされ、サンプル/デモプログラムも公開されています。ネットワーク、Bluetooth、Wi-Fiなどのミドルウェアスタックが用意されているため、対応状況を確認したうえで、評価環境を立ち上げやすい点が特長です。

Zephyrのソフトウェアアーキテクチャ

保守性・移植性

DevicetreeとKconfigによる構成管理は、ボード固有設定とソフトウェア機能の切り分けに役立ちます。ハードウェアの変更範囲を明確にしやすく、派生機種への展開や長期的な保守で、コードの共通化を検討しやすくなります。

 


 

NXPのArm Coretex 製品とZephyr

対応デバイス

NXPでは、産業機器/民生機器/車載向けにマイコンからプロセッサまで幅広いArmベース製品を展開しています。

マイコンではMCXシリーズやi.MX RTシリーズ、プロセッサではi.MXシリーズを中心にZephyr対応を進めています。

これにより、性能や機能要件に応じてデバイスを選択することができ、共通のソフトウェア基盤を活用できる点が特徴となります。

また、NXPの豊富な製品ラインアップとZephyrを組み合わせることで、開発手法やソフトウェア資産を共通化しながら、マイコンからプロセッサまでシームレスな製品展開を実現できます。

マイコンからプロセッサまで充実したNXPのArmベース製品群

MCXシリーズのラインアップ

MCXシリーズは、用途や求められる性能に応じて複数の製品ファミリで構成されています。

  • 低価格が特徴のMCX Cシリーズ
  • 超低消費電力アプリケーション向けのMCX Lシリーズ
  • 幅広い用途に対応する汎用マイコンのMCX Aシリーズ
  • Bluetooth® LEなどの無線通信機能を搭載したMCX Wシリーズ
  • 5V動作や高いアナログ性能を特長とするMCX Eシリーズ
  • エッジAIや高度なセキュリティ機能を備えた高性能マイコンのMCX Nシリーズ

このようにMCXシリーズは、ローエンドからハイエンドまで幅広い製品を展開しており、アプリケーションの要求性能や機能に応じて最適なデバイスを選択できます。

さらに、MCXシリーズはZephyrのサポートが進められており、共通の開発環境やソフトウェアアーキテクチャを活用しながら製品開発を進めることができます。

そのため、ローエンドモデルから高性能モデルまで製品ラインアップを展開する際にも、既存のソフトウェア資産を活用しやすく、開発工数の削減や保守性の向上に貢献します。

用途や機能に応じて選択できるMCXシリーズのポートフォリオ容量とピン数で見るMCXシリーズの製品位置づけ

MCX Nシリーズの概要

MCXシリーズの一つであるMCX Nシリーズは、デュアルArm Cortex-M33コアを搭載した高性能マイコンです。

最大2MBのフラッシュメモリに加え、最大512KBのSRAMを搭載し、そのうち32 KBはECC(Error Correcting Code)対応SRAMとなっています。また、ECC対応416KB SRAMとして使用することができます。

メモリエラーの検出・訂正に対応することで、産業機器や社会インフラ機器など、高い信頼性が求められるアプリケーションに適しています。

また、EdgeLock Secure Subsystem、TrustZone®による高度なセキュリティ機能に加え、Neutron NPU、PowerQuad DSPを搭載し、エッジAIや信号処理を必要とする組込み機器の開発に適しています。

さらに、Ethernet、USB、SDHC、CAN-FD、I3Cなどの豊富なインターフェースを備えており、産業機器、IoTゲートウェイ、HMI機器、スマート家電など幅広い用途に対応可能です。

MCX Nシリーズのシステムブロック図

Zephyr対応評価ボード

NXPはZephyr Project設立時からプラチナメンバーとして参画し、対応デバイスや評価ボードの拡充、新製品への対応、Wi-Fi/Bluetoothなどの機能追加を支援しています。

下図では、MCXシリーズ、i.MX RTシリーズ、i.MXシリーズなどがZephyr対応製品群として紹介されています。

個別の対応型番、対応機能、制約事項は製品とZephyrのリリースごとに異なるため、公開時点の対応ボード一覧を確認して下さい。

NXPの主なZephyr対応評価ボード

FRDM-MCXN947

FRDM-MCXN947はMCX N947マイコンを搭載した低価格かつ高機能な評価ボードです。

MCX N947の性能や各種インターフェースを容易に評価できるよう設計されています。

また、Arduino® Header、mikroBUS™、Pmod™、FlexIO/LCD Header、Camera Headerなど複数の拡張インターフェースを備えており、ディスプレイ、カメラ、センサ、通信モジュールなどを接続したシステム評価を容易に行うことができます。

さらに、オンボードMCU-Linkデバッガを搭載しているため、追加のデバッグツールを用意することなく開発を開始できます。

FRDM-MCXN947向けのZephyr プロジェクトが提供されており、各種サンプルやデモプログラムを活用しながら評価を進めることができます。

そのためZephyrを始めて評価する際のプラットフォームとしても適しています。

MCX N947搭載評価ボード「FRDM-MCXN947」

FRDM-MCXN947のボード構成

評価から量産までを見据えた“開発の伴走”

評価環境の立ち上げやZephyrの移植は、Devicetree/Kconfigの整備やドライバ開発など、専門的な工数が必要になる工程です。

東京エレクトロンデバイスでは、FRDM-MCXN947などの評価ボードを用いた一次評価・PoCから、BSP・ドライバ開発、量産までを一貫して支援します。評価で得た設計資産やノウハウはお客様へ引き渡し可能です。

これにより、評価から製品化・量産までを見据えた開発を、スムーズに進めていただけます。

開発環境

Zephyrでは、Westと呼ばれるCLIベースのメタツールを利用し、ソース取得、ビルド、デバッグ、イメージ書き込み、SBOM生成などを行います。

NXP マイコンでは、無償のMCUXpresso for Visual Studio CodeをZephyrの開発環境として利用できます。

Devicetreeでハードウェアを定義し、Kconfigで必要なドライバやスタックを選択する流れが基本です。

参考ブログ

Zephyr のドキュメントにはサンプル/デモが用意され、対応ボードで機能を評価できます。

NXPからもZephyr関連ページ、Knowledge Base、Community、日本語のまとめページなどが提供されています。

NXPのZephyr OS ~まとめページ~ (日本語ブログ)

さらに、ハードウェア設計、OSポーティング、デバイスドライバ、無線通信、クラウド連携までを含むPoC開発支援も、導入時の選択肢になります。

 


 

Zephyrを採用するユースケース

Zephyrは、IoT/ウェアラブル端末、ヘルスケア機器、スマートホーム機器、産業機器、車載機器など、通信機能とリアルタイム性の両立が求められる組込み機器に適用できます。

特に、Bluetooth/BLEやWi-Fiを利用するセンサ端末、複数機種でソフトウェアを共通化したい製品、将来のマイコン変更を見据えたプラットフォーム開発では、マルチベンダー対応と構成管理の仕組みが有効です。

採用時には、対象デバイスのドライバ対応、必要な通信スタック、メモリ使用量、セキュリティ要件、保守方針を事前に確認することが重要です。

また、Zephyrはマイコンからプロセッサまで幅広く対応しており、個別に開発していたマイコン向けRTOS環境とプロセッサ向けLinux環境の開発手法を共通化できます。

これにより、ソフトウェア資産の再利用や開発効率の向上が期待できます。

 


 

まとめ

製品ラインアップをLow EndからHigh Endまで展開する場合、マイコンとプロセッサで異なる開発環境やソフトウェア資産を管理する必要があり、開発工数や保守負担が課題となります。

Zephyrを活用することで、マイコンからプロセッサまで共通の開発モデルを利用できるため、ソフトウェア資産の再利用やアプリケーションの共通化を進めやすくなります。

NXPは、MCXシリーズ、i.MX RTシリーズ、i.MXシリーズなど、マイコンからプロセッサまで幅広いArmベース製品を展開しており、Zephyrとの親和性が高い点が特長です。

東京エレクトロンデバイスでは、NXP マイコン/プロセッサを用いたハードウェア開発からZephyr対応ソフトウェア開発までトータルで支援しています。

東京エレクトロンデバイスで解決できる顧客課題例

  • Zephyrを試したいが、ボード選定・評価環境の立ち上げに工数がかかる → 最適デバイス選定とPoCで素早く評価を開始
  • マイコン⇔プロセッサでソフト資産を共通化したいが、移植・BSP整備が負担 → HW設計〜OSポーティング〜ドライバ〜無線〜クラウド連携まで一貫支援
  • CRA/JC-STAR等のセキュリティ要件に対応したいが社内リソースが不足 → SBOM生成・セキュアブート等を考慮した設計を支援
  • 既存RTOSからZephyrへ移行できるか見極めたい → 実機評価と移植性の検証を代行

PoC開発で作成した設計資産やノウハウはお客様へ引き渡し可能であり、その後の製品開発や量産展開にもご活用いただけます。

NXP マイコンとZephyrを活用した製品開発をご検討の際は、上記のような課題をお持ちでしたら、お気軽にお問い合わせください。

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