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設計 設計・製造受託
実装基板ができるまで(詳細編)
第3章:SMT工程(表面実装)
“載せる”だけではない。条件を作り込み、品質をつなぐ工程
前章(実装基板ができるまで【詳細編】第2章:部材の払い出し)では、製造指示書とBOMに基づき、必要な部材を正しい状態で製造現場へ送り出す「部材の払い出し」を取り上げました。
本章の「SMT工程(表面実装)」は、払い出された部品をプリント基板表面に搭載し、はんだ接合する工程です。基板清掃、はんだ印刷、搭載精度、温度条件、工程内検査を連続して管理し、次工程へ良好な実装状態を引き渡します。

SMT工程とは
SMT(Surface Mount Technology:表面実装技術)とは、プリント基板表面のランドにはんだペーストを印刷し、チップ抵抗、コンデンサ、ICなどの表面実装部品を搭載した後、リフロー炉で加熱して一括接合する技術です。
一般的な流れは次のとおりです。
- 生産準備・段取り:製造データ、実装面、部品、メタルマスク、フィーダー、プログラム、基板幅などを確認します。
- 基板クリーニング:基板表面の異物を除去し、イオナイザーなどで再付着や静電気の影響を抑えます。
- はんだ印刷:メタルマスクを介して、基板上のランドへクリームはんだを転写します。
- SPI:はんだの位置、面積、高さ、体積などを確認し、印刷状態の異常を早期に検出します。
- 部品搭載:チップマウンタが部品を吸着し、画像認識で位置や向きを補正して基板へ搭載します。
- 炉前AOI:部品の欠落、位置ずれ、向き、極性などをリフロー前に確認します。
- リフロー:設定した温度プロファイルで加熱し、はんだを溶融・凝固させて接合します。
- 炉後検査:リフロー後の外観、はんだ接合状態、ブリッジ、浮き、ずれなどを確認します。
各工程は独立した作業ではありません。印刷量が不安定なら、部品を正しく搭載しても接合品質は安定せず、温度条件が不適切なら未溶融や熱ストレスにつながります。重要なのは、各工程が次工程へどのような状態を渡すかを管理することです。
はんだ印刷、部品搭載、リフローからなるSMT主要工程の流れ
品質の起点となる「はんだ印刷」
接合品質の起点は、はんだ印刷です。メタルマスクを介してクリームはんだをランドへ転写しますが、位置・体積・厚みが不適切だと、ブリッジ、未はんだ、部品浮きなどの原因になります。
SPI(はんだ印刷検査)は、印刷直後に位置や体積を確認し、不良状態のまま部品搭載へ進むことを防ぎます。連続生産では、メタルマスク下面の汚れやはんだの状態変化もあるため、検査結果に応じて清掃や条件調整を行います。
部品搭載は「正しく置く」ための総合管理
チップマウンタは、リールやトレイから部品を取り出し、画像認識で位置や向きを補正して基板へ配置します。製造開始前には、製造データとBOM、部品型番、供給位置、ノズル、極性、1番ピン方向、実装面などを確認します。
似た外観の部品や極性表示が分かりにくい部品は、誤搭載に注意が必要です。また、部品間隔、認識マーク、ノズル干渉など、設計条件も搭載性に影響するため、設計と製造のすり合わせが欠かせません。
リフロー条件は、基板ごとに作り込む
リフロー炉では、予熱・加熱・ピーク・冷却の温度変化によってはんだ接合を形成します。適切な温度プロファイルは、基板の大きさや厚み、銅量、部品の熱容量、実装密度、はんだ材料によって異なります。
条件が不適切だと、未溶融、加熱差、過度な熱負荷などにつながります。このため実基板で温度を測定し、必要な温度域と時間を確認します。部品変更、基板改版、材料・設備変更時には、条件の再確認が必要です。
設計・調達・品質――それぞれの立場から見た「SMT工程」
SMT工程は製造部門だけでは完結しません。設計・調達・品質の判断が、作業性と量産品質に直接影響します。
- 設計部門:ランド形状、部品間隔、部品方向、認識マーク、搬送領域、熱容量の偏りを考慮します。
- 調達部門:包装形態、端子表面処理、MSL、保管期限、代替品の寸法差など、実装条件への影響を確認します。
- 品質部門:炉後不良だけでなく、SPI、搭載履歴、炉前AOI、温度プロファイルから原因を切り分けます。
SMT不良は「結果」だけでなく「流れ」で捉える
SMT工程で見られる代表的な不良には、次のようなものがあります。
- はんだブリッジ、未はんだ・はんだ不足
- 部品ずれ・浮き、チップ立ち
- 欠品、誤部品、逆向き
- 加熱不足・過熱による接合異常
不良の見え方と原因は一対一ではありません。例えば部品ずれには、搭載位置だけでなく、印刷量の偏り、ランド設計、リフロー時の表面張力などが関係します。炉後の現象だけで判断せず、印刷・搭載・加熱・設計・部材の履歴をさかのぼることで、原因の切り分けと再発防止につなげます。
東京エレクトロンデバイス長崎における取り組み:不良を後工程へ流さない
東京エレクトロンデバイス長崎では、3本のSMTラインを保有し、少量多品種を含む生産に対応しています。各ラインには、基板クリーナー、SPI、炉前AOIを導入し、異物、印刷異常、部品ずれ・欠落・極性をリフロー前に検出します。
設備能力として0402サイズまでの実装評価を完了し、0603サイズの実装実績もあります。炉後には真上と斜め方向から撮像する外観検査設備を活用し、見えにくい接合状態も確認します。各工程で異常を早期検出し、不良状態を次工程へ流さないことを重視しています。

工程内で異常を早期検出し、不良状態を後工程へ流さない
実際の現場では、生産準備、機種切替、クリームはんだの状態確認、温度調整なども品質を支えます。詳しくはこちらの記事で紹介しています。(▶ 基板製造の現場は、どんなもんだい?【基板製造編】)
まとめ:SMT工程は“条件を品質へ変える”工程
SMT工程は、払い出された部材を基板へ載せるだけでなく、基板状態、はんだ印刷、部品搭載、温度条件、工程内検査を組み合わせ、再現性のある接合状態を作り込む工程です。
- 印刷・搭載・加熱・検査を一つの流れとして管理する
- SPIとAOIで異常を早期に検出し、次工程へ流さない
- 設計・部材・設備条件を連携させ、変更時は再確認する
- 不良は工程データをさかのぼり、原因を切り分ける
次章予告
次章(第4章)では、SMTで実装できないコネクタや大型部品を取り付ける「挿入工程・後付工程」を取り上げます。自動設備と人の技能を使い分け、工程間で品質をつなぐ考え方を解説します。
