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- 短期間でPoC構築! 【第1話】ARM搭載組込FPGAモジュール(SoM)の活用編
短期間でPoC構築!
ARM搭載組込FPGAモジュール(SoM)の活用編
TEDの inrevium ブランドとして提供するSoM『TB-7Z-IAE』は、本体サイズ50mm(W)×75mm(H)のコンパクトな設計で、標準的な名刺サイズより小さな面積にZynq-7000 All Programmable SoCと2chのGigabit Ethernetを搭載する高性能・高機能な組み込みモジュールで、お客様の機器に組み込むことにより幅広いネットワークアプリケーションに対応します。
近年の流行となっているエッジコンピューティングやIoT化、また、製造設備や検査装置などの産業機器へのインダストリアル・ネットワークの対応といった旬な技術要素への展開を、本SoMを活用頂くことで容易に実現可能です。
本製品に搭載した2chのGigabit Ethernetは、Zynq-7000 All Programmable SoCのプログラマブルロジック IOに接続されており、通常のGigabit Ethernetだけでなく、複数のインダストリアル・ネットワークプロトコルにボードデザインを変えることなく対応することが可能です。
Zynq-7000 All Programmable SoC は、667MHzのDual ARM® Cortex™-A9 MPcoreプロセッサと、高速動作可能なDSPスライスをはじめとするプログラマブルロジックが統合されており、32bitバス 1066Mbps動作のDDR3 SDRAMとの接続により、マシンビジョンのような広帯域かつインテリジェントな処理が必要なアプリケーションにおいて、従来のSoCでは実現困難な高いパフォーマンスを発揮できます。
概要仕様
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また、各種インタフェースが実装された開発キット(TB-7Z-ISDK)にて、様々な用途への事前検証が可能です。
TB-7Z-ISDK概要ブロック図
インダストリアル・ネットワークへの応用を考慮されて本SoMに選定されたPHY、また2chのGigabit Ethernetが実装されており、この特徴を活かしインダストリアル・ネットワークアプリケーションへの応用を考えてみましょう。インダストリアル・ネットワークはすでに10種類を超えるプロトコルが存在するため、複数のインダストリアル・ネットワークへ柔軟に対応できるソリューションが必要とされています。
Factory Automation-Networkイメージ
さらに、ネットワーク化によるデータスループットの向上に伴い、個々の機器に要求される機能も高度になり、従来よりも高いシステム性能が求められています。
リアルタイムネットワークの基本
- マスターは制御周期時間(t)内に接続されたすべてのスレーブに対して、通信処理を行う必要がある
- 設計者は、マスターの処理が制御周期時間(t)に間に合うかをシステム設計時に検討する
- 反面、スレーブは制御周期時間(t)に一度だけ通信が行うので、通信処理に対する負荷は低い
- 同期時刻とは、全スレーブで自分のMPUに向けた割込みが発生する時刻のことで、
物理的に離散しているスレーブが同じタイミングで何らかの振る舞いをして欲しいときに設定される - 各スレーブは同期時刻までのタイマーを持っていて、ケーブル長等で影響を受ける時間のズレも補正された値を持っている
本SoMでは、インダストリアル・ネットワーク機能が検証済みで、2chのGigabit Ethernetが実装されている為、マルチマスタといったインテリジェンスな使用も可能となっております。
マルチマスタ実装例
FA機器のコントローラとして、EtherCAT・MECHATROLINK-IIIをPCレスで実現!
各種環境試験をクリアしており、評価から量産まで同じ環境で御使用頂けることにより、開発期間・リスク管理の面からも大きなアドバンテージとなります。
本SoMに搭載されているZynq-7000 All Programmable SoC には、ARM®プロセッサを内蔵した Processing System (PS)ブロックと7シリーズFPGAと同じProgrammable Logic(PL)ブロックで実現されており、1チップでソフトウエアとハードウエアをプログラマブルに設計可能です。
ここでは市販のカメラにTB-7Z-IAEを接続するだけで、簡単に実現するエッジコンピューティング化の例を見ていきましょう。
市販のCameraLinkカメラにTB-7Z-ISDKとDVIモニタを用意します。
デザイン環境
CameraLinkカメラから出力された画像データをRGB変換し、画像処理を実施。その出データをモニタで確認します。
デザインブロック図
画像処理例
次にGigE Visionカメラと接続してみます。
デザイン環境
撮像対象への位置合わせを行うための、GigE Visionカメラ to DVIモニタープレビュー。Pythonインタプリタ + OpenCVにより、オンラインで処理変更を施し、C++ + OpenCVにFPGAのオフロードを加えた画像処理を実行することによりエッジ検出、ハフ変換、ラベリングを簡単に実現することが可能です。
このように本SoMを既存カメラに組み込むことにより、エッジで極力処理を行い、システム全体のパフォーマンス向上につなげることが可能です。
弊社では、本SoMをベースとし搭載メモリ容量の変更、IFの変更等カスタマイズのご相談も承っております。フルスクラッチでの開発にはならない為、開発コスト削減、及び開発期間短縮といったご提案が可能です。