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画像診断装置に欠かせない
アナログフロントエンド技術とは

医療機器の画像診断装置において重要な役割を果たすアナログフロントエンド技術。

本特集では、CT・MRI・超音波診断装置それぞれの構造や特性を概観し、特に超音波診断装置の開発に欠かせないパルサーおよび、アナログフロントエンドデバイス(AFE)について詳しくご紹介します。

 

アナログフロントエンドとは
センサーが捉えた微弱なアナログ信号を増幅・変換して、デジタル処理しやすくするための回路

 

 


 

さまざまな画像診断装置

以前、「医療機器装置の改善ポイント【画像診断装置編】」として、以下のような医療機器クラスⅡの装置に対する、当社の取り組みを特集しました。

 

医療機器クラスⅡとは
薬機法(医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律)で定められた医療機器の分類の一つ

 

  • 超音波診断装置(エコー検査)
  • X線検査装置(レントゲン検査)
  • CT検査装置(コンピュータ断層撮影検査)
  • MRI検査装置(磁気共鳴画像診断検査)

 

画像診断装置は、データ取得のためのセンシング部が、装置ごとに「磁気」、「超音波」や「X線」など、さまざま存在しますが、動作の大枠としては、センサシング部から取得したデータをアナログフロントエンド(AFE)で受信し、受信したデータの収集、画像合成、画像の表示やPACSなどサーバーへの保存が、主な機能ブロックとなります。

 

画像検査装置イメージ図

画像検査装置イメージ図

 

 


 

画像診断装置の特徴

参考までに、CT(コンピュータ断層撮影)、MRI(磁気共鳴画像法)や超音波診断など、代表的な画像診断装置の特徴を列挙します。

それぞれの画像診断装置は、診断したい体の部位やその特徴、および疾患の種類によって使い分けがされています。

項目 MRI CT 超音波
原理 磁場と電磁波 X線 高周波音波
被ばく なし あり なし
撮影時間 長い 短い 非常に短い
得意分野 軟部組織 骨・肺 動きのある臓器
コスト
携帯性

 


 

超音波診断装置とは

今回特集する超音波診断装置(エコー装置)とは、高周波の音波(超音波)を利用して体内の構造をリアルタイムで画像化する医療機器です。

たとえば、

  • 腸管のぜん動きを観察
  • 心臓の拍動、血液の流れを観察
  • おなかのなかの胎児の様子を観察

など、「動き」を診断するのに役立つ装置です。

X線と違って放射線を使わないため安全性が高く、MRIのような大型ではないため、ベットサイドで使用できたり、小型化、携帯化が可能な診断装置になっています。

超音波診断装置を構成する重要な部品として、当社が取り扱うTexas Instruments 社のPulser/AFEに関してご紹介いたします。

 

超音波診断の図解説明
医療現場で行われる超音波診断(エコー検査)の基本的な構成を示しています。以下の要素が含まれています:

超音波検査イメージ

 

  • 超音波プローブ(Ultrasound Probe):体表に接触させて内部の構造を超音波で画像化。ゼリー状の媒介物を皮膚に塗布して使用
  • 超音波診断装置(Ultrasound Machine):プローブから送られてくる信号を処理し、画像として表示する装置
  • モニター画面(Monitor Display):リアルタイムで体内の様子が映し出される画面。医師はこの画像を見ながら診断を実施

 

次に、超音波診断装置の中で特に重要な部品である「パルサー」と「アナログフロントエンド(AFE)」の役割に関して説明します。

 


 

超音波診断装置におけるパルサーの役割

超音波診断装置内部ブロック超音波診断装置内部ブロック

パルサーは、超音波診断装置の中でも「超音波信号の送信部」に使用されています。

具体的には、パルサーは高電圧の電気パルスを生成し、これを超音波プローブに送信します。この電気パルスがプローブ内の圧電素子を振動させ、超音波を生成します。

主な特徴としては以下の点が挙げられます。

  • 高電圧出力:パルサーは高電圧の電気パルスを生成し、これにより高品質な超音波画像を取得
  • 小型化と高集積化:最新のパルサーは関連周辺回路を含む高集積化が進んでおり、装置の小型化とコスト低減に貢献
  • 高精度な制御:パルサーは正確なタイミングで電気パルスを生成するため、超音波の送信と受信のタイミングを高精度に制御可能

パルサーの機能により超音波診断装置は高解像度の画像を提供し、医療診断の精度を向上させることができます。

 


 

超音波診断装置におけるアナログフロントエンド(AFE)の役割

超音波診断装置の受信部で非常に重要な役割になっているアナログフロンドエンド(AFE)は以下のような機能を担っています。

 

  • 超音波信号の受信:超音波プローブから送信された超音波信号が、患者から反射され、その反射された信号(エコー信号)を受信
  • 信号の増幅とフィルタリング:受信したエコー信号は非常に微弱なため、アナログフロントエンドLSIはこれを増幅し、ノイズを除去するためのフィルタリングを行う。これにより、クリアで高解像度な画像を生成するための信号処理を実施
  • デジタル変換:増幅・フィルタリングされたアナログ信号をデジタル信号に変換。これにより、コンピュータでの解析や画像生成が可能

 


 

アナログフロントエンドLSIの重要性

アナログフロントエンドLSIは、信号の増幅・変換などを担い、超音波画像の質を大きく左右する重要なデバイスです。診断精度の向上に加え、装置の小型化、省電力化、さらにはコスト削減にも寄与します。

 

  • 高精度な診断:アナログフロントエンドLSIの性能が高いほど、より高精度な超音波画像が得られ、診断の精度が向上
  • 小型化と省電力化:最新のLSI技術により、超音波診断装置の小型化と省電力化が進み、持ち運びやすく、長時間の使用が可能
  • コスト効率:高集積化されたLSIは、製造コストの低減にも寄与し、より多くの医療機関での導入が可能

 


 

当社FAEのおすすめデバイス

これまで超音波診断装置の性能や形状、コストなどを左右するコンポーネントである「パルサー」と「アナログフロントエンド(AFE)」の重要性を解説いたしました。

ここで、当社が取り扱うTexas Instruments社の製品群の中から、FAEがおすすめするデバイスをご紹介します。参考になりましたら幸いです。

当社FAEのおすすめデバイス

高性能機器向け Premium/High-end

TX08D + AFE58JD48

  • TX08D : 8ch, 5レベルパルサー(±100V/4Aドライブ)+8ch リニアアンプ/12bit DAC
  • AFE58JD48 : AFE58JD28のノイズ性能はほぼそのままにサンプルを125MHzまで対応
  • 16ch, 125MSPS, 0.8nV/√Hz, 138mnW/ch, JESD204B I/F

普及機・ポータブル機器向け Mid-range Carts/Portable

TX75E16 + AFE58JD28

  • TX75E16 : 16ch, 5レベルパルサー(±100V/2Aドライブ)
  • AFE 58JD28 : 16ch, 80MSPS, 0.86nV/√Hz, 102mW/ch, JESD204B I/F

ハンドヘルド向け Handheld Probes

TX7332/TX7364 + AFE58JD32LP

  • TX7332 : 32ch, 3レベルパルサー(±100V/1.2A ドライブ)
  • TX7364 : 64ch, 3レベルパルサー(±100V/1.1A ドライブ)
  • AFE58JD32LP : 32ch, 80MSPS, 3nV/√Hz, 28mW/ch, JESD204B I/F

 


 

機器の仕様検討から量産基板製造までお任せしてみませんか?

東京エレクトロンデバイスでは、製品知識の豊かなFAE (Field Application Engineer)が、超音波診断装置を構成するのに最適なデバイスの選定のお手伝いをしております。

また40年近くにわたって培ってきた回路設計・基板設計の経験・知見を活かした受託開発サービスのほか、自社工場において量産基板製造までトータルでお客様の“ものづくり”をサポートしております。

機器の仕様検討から量産基板製造までを一貫してサポートしている東京エレクトロンデバイスの設計・量産の受託サービスをぜひご活用ください。

 

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