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【続編】画像診断装置に欠かせない
アナログフロントエンドソリューション
東京エレクトロンデバイスでは画像診断装置の開発に必要なキーパーツの選定から、それらを活用した基板設計および量産製造までを一貫してサポートいたします。
超音波診断装置開発においてアナログフロンドエンドデバイスの選定は、装置の性能・コストを決める重要な部品となります。
前回の特集で紹介したアナログフロントエンド部がもつ各機能について、詳しく解説するとともに、デバイス選定のポイントについて紹介します。
目次
超音波診断装置におけるアナログフロントエンドとパルサーの重要性
前回の特集記事にて、超音波診断装置におけるアナログフロントエンドとパルサーの重要性について解説いたしました。
今回の特集記事では「アナログフロンドエンド部」の内部ブロックを示しながら、各機能が超音波診断装置において果たしている役割とその重要性を深堀したいと思います。
超音波診断装置内部ブロック
なお本記事において登場するキーワードの一部については、以下の特集記事も参照いただくとより理解が深まるものと思いますので、ぜひご活用ください。
超音波診断装置におけるアナログフロントエンドの機能
超音波診断装置がプローブから受信するエコー信号は、とても微弱で、ノイズの影響を受けやすい信号です。
また測定する臓器や部位によって信号の強度が異なるため、後段のADコンバータでデジタル化し、超音波画像を作る前に、入力信号を増幅したり、ノイズを除去したり、信号振幅の調整が必要になってきます。
入力されたエコー信号の増幅、ノイズ除去や振幅の調整はアナログフロントエンド部で行われ、アナログフロントエンドデバイスの性能が超音波診断装置の性能を左右するといっても過言ではありません。
アナログフロントエンド部の機能ブロックとその役割についてみてみましょう。
アナログフロントエンド機能ブロック
アナログフロントエンドの主要な機能ブロック
アナログフロントエンド部は以下のような機能ブロックで構成されています。
ビームフォーマ(Beam Former)
特定の方向からの信号を強調し、それ以外の方向からの信号を抑制することで、空間分解能とコントラストを向上させます。
ビームフォーマは、超音波診断装置の「目の焦点を合わせるレンズ」のような存在です。高性能なビームフォーミング技術が、より正確で信頼性の高い診断を可能にしています。
ADコンバータ(アナログ信号のデジタル化)
ADコンバータは、アナログフロントエンド部で増幅・調整された後のアナログ信号を高速かつ高精度にデジタル化します。デジタル化することで、コンピュータによる画像処理が可能になります。ADコンバータは、超音波診断装置の「目の精度」を決める心臓部とも言える存在です。
Low Pass Filter (フィルター)
アナログ信号を「きれいに整える」フィルターであり、高精度なデジタル変換のための“門番”のような存在です。フィルター部が適切に設計されていないと、どんなに高性能なADCでも正確なデータは得られません。
Gain Amplifier (ゲインアンプ)
入力信号の振幅を調整するための重要な回路です。特に医療機器や高精度な画像処理装置でその役割が際立ちます。
入力信号のばらつきに応じて動的に変更できるプログラマブルなデバイスが一般的です。
CW Mixer
CW(連続波)ドップラー法において血流速度の検出を行う際に使用されます。
Low Noise Amplifier (ローノイズアンプ)
微弱な信号を高い信号対雑音比(S/N比)で増幅するための回路です。超音波診断装置では、体内から反射されて戻ってくる超音波信号は非常に弱く、しかも周囲の電子機器や回路からの雑音に埋もれやすいため、信号を正確に検出・解析するには、できるだけ雑音を加えずに信号を増幅する必要があります。
テキサスインスツルメンツ社のソリューション
これまで解説したアナログフロントエンド部に関して、当社の取り扱うテキサスインスツルメンツ社(以下、TI社)の製品をいくつか紹介させていただきました。TI社では設計される超音波機器の用途によって3タイプのAFEソリューションをラインアップしています。
前回の特集記事でも紹介した3つのデバイスについて改めて紹介します。
型名 | AFE58JD48 高性能機向け Premium/Hi-end |
AFE58JD28 普及機・ポータブル向け Mid-range Cart/Portable |
AFE5832LP ハンドヘルド Handheld Probes |
---|---|---|---|
チャンネル数 | 16 | 16 | 32 |
消費電力 | 約140 mW/ch | 約102 mW/ch | 約18.5 mW/ch |
ADC分解能と速度 | 16ビット @ 125 MSPS | 14ビット @ 65 MSPS 12ビット @ 80 MSPS |
12ビット @ 40 MSPS 10ビット @ 50 MSPS |
インターフェース | JESD204B または LVDS | JESD204B または LVDS | LVDS(JESD204B非対応) |
CWミキサー | パッシブCWミキサー | パッシブCWミキサー | パッシブCWミキサー |
デジタルデモジュレータ | 搭載 | 搭載 | 非搭載 |
用途 | 高性能医療用超音波 | 医療用超音波 | 低消費電力用途 ポータブル超音波など |
いずれのデバイスもこれまで解説してきた LNA, Gain Amp, LPF , ADCなどを搭載し、1chip でポータブルからハイエンド機までをカバーできる製品群となっています。
東京エレクトロンデバイスの取り組み
東京エレクトロンデバイスでは、製品知識の豊かなFAE (Field Application Engineer)が、超音波診断装置を構成するのに最適なデバイスの選定のお手伝いをしております。
また40年近くにわたって培ってきた回路設計・基板設計の経験・知見を活かした受託開発サービスのほか、自社工場において量産基板製造までトータルでお客様の“ものづくり”をサポートしております。
機器の仕様検討から量産基板製造までを一貫してサポートしている東京エレクトロンデバイスの設計・量産の受託サービスをぜひご活用ください。