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生産現場 人手作業の自動化
製造業・物流でロボット導入が進まない理由とは?
技術目線でロボット導入効果を深堀!
人依存現場からの脱却の道
以前、これからのロボット導入に必要な勘所のご紹介として、「ロボット導入が進まない要因と対策」と、「ロボット導入効果を深堀!」をそれぞれ投資対効果目線で掲載いたしました。
今回は技術目線で、「人手作業の自動化が進まない現場にはどういった特徴があるのか」また、「課題に立ち向かう自動化技術」の2点について深堀していきます。
人手作業の自動化が進まない現場の特徴
技術目線で見た際に自動化が進まないということは、投資対効果はもちろんですが、技術難易度が高いということが挙げられます。では、技術難易度が高いということはどういうことなのでしょうか。
そもそも自動化実績がなくノウハウが貯まっていないということも大きな要因になりますが、主な特徴(阻害要因)としては2つあります。
1つ目は「形式知化できていないこと」、2つ目は「今の技術では実現できないこと」にあります。
自動化が進まない現場の特徴
- 前回テーマ:投資対効果が出ない
- 今回テーマ:技術難易度が高い
阻害要因
- 形式知化できていない
- 今の技術では実現できない
1. 作業を形式知化できていない場合
自動化するには、専用機やロボットに作業を置き換えるために、作業そのものを形式知化する必要があります。例えば、ねじを締める場合、「○Nで締め付ける」という規格がまさに形式知化されたものです。
形式知化できていない作業の特徴
- カンコツが必要な作業
感覚で対応
定量化されていない(定量化できないとは限らない)
熟練作業や外観検査もこれに含まれる
- 単純な作業
特定の人でなくてもできるため、後回しにされがち
高負荷なことも多く、人の入れ替わりが多い
今後優先順位が上がってくる可能性が高い
形式知化できていない理由
カンコツが必要な作業
-
- 定量化するのに時間とコストがかかる
・人間が感覚で行っていることを定量化するために分析が必要
・分析するためには、モーションキャプチャを使ったり、手袋にセンサーを仕込むなど、さまざまなツールを使い、さらにはデータの解析が必要 - 作業者自体の協力も必要不可欠
・実作業以外の業務が増える
・理解を得る労力 - 品質保証に関わる場合、基準決めが難しい
・外観検査のように人の感覚で合否判断が若干変わりうるものは、定量化しようとしても品質を誰がどのように保証するかが決められず、止まってしまうことも
- 定量化するのに時間とコストがかかる
- 単純な作業
- そもそも自動化に取り組んでいない
単純に人海戦術で対応しており、自動化したいというニーズに至っていない可能性がある
- そもそも自動化に取り組んでいない
2. 今の技術では実現できない場合
続いて2つ目の自動化の阻害要因である、「今の技術では人の器用さや柔軟さを実現できていない場合」です。
手先の器用さ
人間は2つの手だけでさまざまな硬さおよび形状の物体を持つことができ、さらには道具を使うことが出来ます。それに対し、ロボットや専用機は作業に適した専用のエンドエフェクタが必要になります。
人の柔軟さ
人間は過去の経験に加え五感をフル活用して対応できますが、自動化する際には必要なセンサーを付ける、形状を見極めるにはカメラが必要、さらにはその動作や形状もプログラミング必要があります。
各作業を切り離せば実現できることが多くなってきましたが、一人の人間が行っている作業すべてを一括で自動化することは今の技術では実現することが難しいといえます。
自動化が進んでいない現場
自動化が進んでいない現場は人に依存した現場といえます。ではこの状態が続くとどうなるのでしょうか。人が減り続ければ人手不足に陥り、以下のように環境に振り回されてしまい、企業の存続も厳しくなってきます。
- 生産力の低下
- 品質ダウン
- 人員確保のための賃金UP など
人依存現場の課題に立ち向かう自動化技術
自動化を進めることが今後の企業存続についても大事なことが分かったところで、課題に立ち向かう自動化技術の紹介をしていきます。今回ご紹介するのは「AI」と「ロボットハンド」の2種類です。
1. AI
AIの特徴
注目されるようになってからもだいぶ時間がたったAIですが、以下のような特徴があります。
- 自然言語処理+音声認識
- 代表的な使い方:AIアシスタント、自動翻訳
- ロボットの技術に活用する場合:
- 音声でロボットを動作させる
- AIアシスタントのようにコーディング(プログラミング)をさせる
- データの数値化、分析
- 大量のデータを分析、数値化することが得意
- (例)製造業界:温度・湿度によって変わる配合率もデータからAIが自動で算出
- 今後は各センサーの数値を元に適切な動作をするような取り組みが増えていくことが予想される
2. ロボットハンド
ロボットハンド技術の進展
作業の自動化を検討する際に、トップクラスに苦戦するのがロボットハンドの検討です。
ロボットハンドの事例(一部)
- 搭載するセンサー
有名なのはトルク(力覚)センサーですが、最近は触覚センサーを多く展示会で見るようになってきました。名前の通り人間の触覚を模倣したセンサーです。検出方法はさまざまですが、より繊細な作業をするために作られており、やわらかい物体を壊さずに持つための力覚センサーや、滑りを検出するすべり覚センサーを内包した機能の物が多いです。
他にも近接覚センサーといった、カメラを使わなくても物を検知できるようなセンサーも出てきています。
- 掴む技術
素材に注目する企業が増えてきており、やわらかい物をつぶさないようなクッション性のあるものや、滑りにくい素材、凹凸があるものに対応することを意図した製品も増えています。また、人間の多関節を再現する研究も進んできています。
五本の指を再現するために実に20以上の関節を保持し、さらには各センサーも内蔵することにより、より人間に近い動きを可能にするものもあれば、人体の骨格構造を模擬し、把持動作を実現させることに特化したようなハンドも出てきています。
まとめ
今回は技術目線で、「人手作業の自動化が進まない現場にはどういった特徴があるのか」、また、「課題に立ち向かう自動化技術」の2点について深堀してきました。
今の技術ではなかなか人依存の現場を一括で自動化することは難しいですが、AIやロボットハンド技術のように近年で急激に伸びている技術もあります。
また、自動化をすすめたいけど、どこからやってよいかわからないというお話もよく耳にします。
まずは今の技術で何が出来るかということを理解し、段階的に進めていくことが人依存の現場からの脱却の第一歩になります。
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