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脱炭素社会へのキーテクノロジー
パワー半導体を解説

脱炭素社会へのキーテクノロジー パワー半導体を解説

 

脱炭素社会へのキーテクノロジーとして注目が高まっているパワー半導体について、その役割と現在の状況、そして将来に向けての技術トレンドを解説します。

 

 

 

 


 

パワー半導体とは?

 

パワー半導体とは、パワーエレクトロニクス*¹において、スイッチや整流器*²、アンプとして使用される半導体デバイスのことです。パワーデバイスとも呼ばれ、集積回路に使用される場合はパワーICとも呼ばれます。

パワー半導体は、ヘッドフォンアンプのような数十ミリワットの低電圧微少電流用途から、直流高電圧伝送路のような1ギガワット程度のシステムまで幅広く使用されています。

パワーICには主に以下の4つの働きがあります。

1)直流の電気を交流に変換 インバータ
2)交流の電気を直流に変換 コンバータ
3)直流の電圧を変換 DC/DCコンバータ(レギュレータ)
4)交流の周波数を変換 AC/ACコンバータ

 

パワー半導体で構成されたパワーIC4つの役割

パワー半導体で構成されたパワーIC4つの役割

 


 

 

なぜパワー半導体が必要なの?

 

現代の生活においては、PC、スマホ、家電をはじめ、エレクトロニクス製品が生活のインフラとなっています。電気が流れるところには必ず、電気を制御するパワー半導体が必要となります。また電気供給の大元である発電所からの、送電に関してもパワー半導体は重要な役割を果たしています。

例えば、発電所で作られた電気は都市部などの消費地に送電される場合、送電線の抵抗によって電気の一部損失が発生します。高電圧(数万~数十万Vなど)でまとめて送ったほうがこの損失が少ないため、高電圧のAC(交流)で送電されます。そのため、一般的な家庭やオフィスには交流の電源が供給されます。

しかし、この送られた電圧は、高圧すぎるためにそのままでは利用することができず、変圧(降圧)しなければいけません。この変圧をDC(直流)よりACの方が簡単に行えるため、AC送電が行われています。

その後、各電気製品で使用するために、AC(交流)からDC(直流)への変換が再度必要になります。電気製品に組み込まれているほとんどの電子回路は5Vや12VなどのDC電圧で動作するためです。その際にもパワー半導体が使用されます。

 

 


 

 

パワー半導体の役割と種類は?

 

パワー半導体の代表的なデバイスには、整流を行うダイオードとスイッチングや増幅を行うトランジスタがあります。代表的なトランジスタ*³として、MOSFET*⁴、バイポーラトランジスタ*⁵、IGBT*⁶があります。

MOSFETはオン抵抗*⁷が高い代わりにスイッチイング速度*⁸が高速のためスイッチングデバイスとして使用されています。

バイポーラトランジスタはオン抵抗が低いため、電力損失が少なく、スイッチング速度が遅いため、無線システム用高周波回路等の超高周波のアプリケーションに使用されています。IGBTはMOSFET、バイポーラトランジスタ両方良い部分を取り入れ(低オン抵抗、スイッチング速度が速い)モータインバータとして利用されています。

売上はSi MOSFET向けが一番大きく全体の45%を占めています。

 

MOSFET バイポーラ
トランジスタ
IGBT
制御 ゲート電圧 ベース電流 ゲート電圧
許容電流
スイッチング
速度
オン抵抗

 


 

 

パワー半導体の登場以前は?

 

パワー半導体の登場以前は真空管が、電流の整流および電流を増幅させるデバイスとして使用されていました。

真空管は、熱の発生による問題や寿命の問題、また小型化が難しいため、1940年代のトランジスタ開発以降次第にパワー半導体が電流制御用途とし使用されるようになりました。

トランジスタは最初の半導体デバイスとして、現在あるエレクトロニクス技術の基礎を築きました。

 

 


 

 

なぜパワー半導体が注目されているの?

 

パワー半導体が注目されている理由としては、エレクトロニクス製品の増大に伴う、電力消費量の急増とそれによってもたら電力不足および、地球温暖化の問題があります。

世界中の総電力の40~50%がモータによる消費電力だといわれています。この電力を減らす、すなわち省エネルギーを促進すると、原子力発電所が数十基も不要になるといわれています。

 

経済産業省「次世代デジタルインフラの構築」 プロジェクトに関する 研究開発・社会実装計画(案)の概要より資料引用

経済産業省「次世代デジタルインフラの構築」 プロジェクトに関する 研究開発・社会実装計画(案)の概要より資料引用

 


 

 

パワー半導体の現在の流れは?

 

Si材料大口径化

パワー半導体は、これまでは口径の小さなウェーハを用いて精度よく、歩留まりを高く量産する技術が重要でしたが、省エネ実現へパワー半導体の需要は右肩上がりが続いているため、近年はより口径の大きなウェーハを用いて生産能力の拡大や生産の効率化によるコスト低減を目指す動きが強まっています。

なぜなら、8インチと12インチウェーハを比較した場合、12インチでは2.25倍も面積が大きくなります。そのため、同じサイズのチップを製造する場合、大口径ウェーハを用いたほうがウェーハ1枚から取れるチップ数が増え、1チップ当たりの製造コストが劇的に下がり、コスト競争力につながるためです。

 

次世代パワー半導体材料の採用

EV用インバータをはじめ、高電圧、高スイッチング特性を得るためには、Siウェーハの材料特性が限界に近づいており、より高電圧、高スイッチングに対応可能な次世代パワー半導体材料の採用が急速に進んでいます。

次世代パワー半導体については、次回以降に詳しく特集します。

 

経済産業省「次世代デジタルインフラの構築」 プロジェクトに関する 研究開発・社会実装計画(案)の概要より資料引用

経済産業省「次世代デジタルインフラの構築」 プロジェクトに関する 研究開発・社会実装計画(案)の概要より資料引用

 


 

*¹ パワーエレクトロニクス:パワーエレクトロニクスは、物理学、電子工学の技術を電力の制御や変換に応用したものです。

*² 整流器:整流器とは、周期的に向きを反転させる交流(AC)を、一方向にしか流れない直流(DC)に変換する電気機器です。逆方向の動作を行う電気機器をインバータといいます。

*³ トランジスタ:トランジスタは、電気信号や電力の増幅やスイッチングに用いられる半導体デバイスで、現代の電子機器の基本構成要素の一つです。トランジスタは半導体材料で構成され、通常、電子回路に接続するために少なくとも3つの端子を備えています。

*⁴ MOSFET(The metal–oxide–semiconductor field-effect transistor ):MOSFET(金属酸化膜半導体電界効果トランジスタ)は、電界効果トランジスタ(FET)の一種で、絶縁ゲートを持ち、その電圧によってデバイスの導電性を決定します。電圧の大きさによって導電性が変化するため、電子信号の増幅やスイッチングに使用されています。

*⁵ バイポーラトランジスタ:バイポーラトランジスタは電荷キャリアとして電子と正孔の両方を用いるトランジスタの一種です。電界効果トランジスタなどのユニポーラトランジスタは、電荷キャリアを1種類しか使わないのに対し、バイポーラトランジスタは、片方の電荷キャリアに小さな電流を流すことで両端子間を流れる大きな電流を制御することができます。増幅やスイッチング用途に使用されています。

*⁶ IGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor):IGBTは主に電子スイッチとして使用される3端子パワー半導体デバイスで、MOSゲート構造によって制御される4つの層(P-N-P-N)が交互に積層された構造になっており、高効率と高速スイッチングの両方の性能を兼ね備えています。大電力のスイッチング電源として、電気自動車、電車、エアコンなどに使用されています。

*⁷ オン抵抗:スイッチをオンにした時に発生する電気抵抗です。オン抵抗が高いほど、電流が流れにくく、電導損失が高くなります。

*⁸ スイッチング速度:トランジスタを流れる電流の流れをON・OFF切り替えする速度のことです。

 


 

 

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