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筐体設計の勘所
筐体サイズと熱対策における筐体設計の取り組み

筐体設計は、製品の外観や内部構成、素材や色彩などを決定し、製品の機能や性能、コストや安全性などに影響を与えるだけでなく、製品のイメージやブランド、ユーザーの感情や満足度などにも大きく関わっています。そのため、筐体設計は製品開発において非常に重要な要素といえます。

しかし、筐体設計には多くの課題や難しさがあります。例えば、製品の仕様や要求が明確でない場合や、技術的な制約や市場の変化に対応する必要がある場合などです。我々は、筐体設計の専門家として、お客様の製品の具現化をお手伝いします。

本ストーリーは、「研究開発用途 超高速プロジェクタ DynaFlash」の開発プロジェクトの筐体設計に関して、全3回にわたってお伝えし、本記事では、筐体サイズと熱対策における筐体設計の取り組みをご紹介します。

筐体設計の流れについては、「要素技術の具現化に向けた筐体設計の取り組み編」でご紹介していますのでぜひご覧ください。

 

 


 

2次試作機からのサイズ変更

量産試作機を題材に、筐体サイズと熱対策における筐体設計の取り組みについてご紹介します。

2次試作機までは画像処理技術の性能を最大限に発揮することが目的であり、筐体の大きさはあまり問題になりませんでしたが、量産試作機では実際にユーザーの手に渡る製品として、コンパクトで軽量な筐体に仕上げることを目的として取り組みました。

量産試作機は図1のように2次試作機の体積と比較して大幅に小型化しました。

図1 2次試作機と量産試作機の体積比較図1 2次試作機と量産試作機の体積比較

 

この量産試作機の体積を実現するには内部レイアウトのみではなく部品の大きさと数を最適化する必要があります。

例えば2次試作機までは当社の評価基板を使用していましたが、専用メイン基板を開発し、4個搭載していた市販電源の代わりに専用電源基板を開発しました。

また2次試作機ではその大きさから放熱について考慮しなくても問題ありませんでしたが、量産試作機では冷却ファン、カスタムヒートシンク、狭い空間に部品を配置できるように板金部品形状を工夫しました。図2は2次試作機と量産試作機の内部状態です。

 

2次試作機
2次試作機
量産試作機
量産試作機

図2 2次試作機と量産試作機の内部状態

 


 

部品の大きさと数の最適化

専用メイン基板や電源基板開発はサイズダウンに大きく寄与しますが、それだけでは到底目標サイズに収めることはできません。

内蔵部品の取付部品を最小限に抑える工夫や配置の最適化が求められます。

図3はLED基板、ヒートシンクおよびヒートスプレッダおよびファンを固定する板金部品です。この部品は二つの板金部品をスポット溶接することで、1部品に数種類の部品を組付けることを可能にしています。

図3 設計した板金部品参考例

図3 設計した板金部品参考例

 

図3で示したBRT_LED_BOARDのように、部分的に曲げ角度が違う場合の板金を1枚板から成形したい場合も設計に一工夫が必要となります。

例えば図4のように複雑な形状で部分的に角度の違う板金でも加工前の展開形状が成立していれば1体成形が可能です。

当社では板金部品設計する際には、強度と剛性、素材の特性などを考慮し、1枚板から展開できるか、プレス加工できるかを判断して設計するよう心掛けています。

図4 部分的に曲げ角度が違う板金部品の展開形状図4 部分的に曲げ角度が違う板金部品の展開形状

 


 

熱対策

図2のように2次試作時の筐体内部状態はかなりスペースに余裕があり、量産試作機時の筐体内部状態はかなり部品が混みあっています。

高速画像処理技術は高い計算能力を必要とするため、電源部と光学部が非常に高温になり、同時に筐体内温度も上昇します。

LEDなどの光学部の熱源は後方から前方に風を送ることで冷却できますが、電源部の熱源は後方より風を当てても前方にレンズユニットがあるため、排気は側面に逃がす必要がありました。

光学部と電源部への吸気を独立させないと両方を同時に冷却できない可能性があるため、LED基板や板金部品で仕切りを造り吸排気を別系統にすることで内部温度を安定的に保つことができました。

 

図5 量産試作機の内部状態と放熱対策

図5 量産試作機の内部状態と放熱対策

 

これらの改良を盛り込んだ量産試作機を製作し、さらに厳しい評価・検証を行いました。その結果、高品質な画像を実現することができました。こうして、最終的に製品を上市するに至りました。

「研究開発用途 超高速プロジェクタ DynaFlash」の開発プロジェクトの筐体設計に関して、全3回にわたってお伝えしてきた本ストーリーも今回の第3話で完了となります。

当社では、半導体商社部門の専門家が、今後の装置機能の改善が図れる装置ポイント、また供給性を念頭にした部材選定からお手伝いいたします。また、開発、製造、保守に至るまでお客様の困りごとを解消するため、オンラインサロンを開設しております。

 

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