- HOME
- 分散電源の新常識 HVDCバス連係×自律制御で実現するスマート電力制御
設計 設計・製造受託
分散電源の新常識
HVDCバス連係×自律制御で実現するスマート電力制御
再生可能エネルギーや蓄電池の導入が進む中、電力を効率よく使い、安定的に供給するための分散電源システムが注目されています。
東京エレクトロン デバイス長崎では、インバータやコンバータをモジュール化し、システム構成の柔軟性や拡張性を高めるとともに、HVDCバスによる高効率な電力連係や、自律制御による安定運用を実現しています。
本記事では、そうした技術の考え方や仕組み、当社ならではの特長についてわかりやすくご紹介します。
分散電源とは
分散電源とは、一般的には「消費地近くに設置された比較的小規模な発電設備」のことを指しますが、当社としましては、市販されているパワーコンディショナーとは異なり、「インバータとコンバータがそれぞれモジュール化されていること」を指しています。
これにより、システム構成の柔軟性や拡張性が高まり、用途や規模に応じた最適な電源制御が可能になります。
当社の分散電源システムは、以下の4つのモジュールで構成され、それぞれ異なる役割を担っています。
1.バッテリコントローラ
バッテリへの充放電を行う双方向DC/DCコンバータです。
2.系統連系インバータ
系統と同期した周波数・位相の電流を潮流/逆潮流方向に流したり、停電時に自立運転することができる系統連系AC/DCインバータです。
系統連系ガイドラインに沿った多数台連系における単独運転防止の保護機能や運転継続性能の要件(FRT)に対応しています。
3.PVコンバータ
MPPT機能(Maximum Power Point Tracking)を搭載し、太陽電池パネルを直接接続可能な単方向DC/DCコンバータです。
4.スマートパワーマネージャ
当社のインバータとコンバータで構成されたシステムを制御する機器です。Web I/Fを備えており、各モジュールの状態取得やパラメータ設定をブラウザ端末より行うことができます。
分散電源のメリット
分散電源のメリットは、インバータやコンバータの容量、台数を選択することで、任意の規模の蓄電システムを構成できることです。
またインバータやコンバータを複数台設置することで、一部が故障しても残りが稼働を継続するため、システム全体の停止を防ぎ、安定した電力供給を維持することができます。
HVDCバス連係とは
HVDCバス連係とは、インバータやコンバータの各モジュール間をHVDCバス(High-Voltage Direct Current Bus)で接続し、HVDCバスを介して、各モジュール間でエネルギーを授受することができる仕組みです。
HVDCバスはDC380Vを中心電圧とし、エネルギー状態に応じて±40Vの範囲で可変します。
直流は周波数、無効電力等を考慮する必要がないため、交流に比べて複雑な制御をせずにエネルギーを授受することが出来ます。
自律制御式とは
自律制御式とは、インバータやコンバータの各モジュールが、スマートパワーマネージャで設定した設置値に従い、自らが持つHVDC電圧指令値と実際のHVDC電圧との差に応じて電力変換を行う制御方式です。
電位差が30Vの時、定格動作となります。
スマートパワーマネージャからの指示無しに、各モジュールが自らの指令値を基に必要な行動を取るため、安定したエネルギーミックスを実現することができます。
まとめ
東京エレクトロン デバイス長崎では分散電源リソースを使って、多様なエネルギーソースを取込み、系統へやさしく、効率的にエネルギーを溜めて、コントロールする電力変換蓄電装置を提供します。
モジュール化された構成やHVDCバス連係、自律制御方式といった特長により、安定性・拡張性・効率性を兼ね備えたスマートな電源システムが実現できます。
今後さらに再生可能エネルギーの導入が進む中で、当社のソリューションがエネルギーインフラの信頼性向上と柔軟な運用に貢献していきます。