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【画像処理マスターへの道】
相関エッジを目で見て調整
 ~可視化ツールのご紹介~

画像処理に関連するさまざまな情報をお届けする連載です。
今回は相関エッジ検出について改めて整理してみたいと思います。画像内から特定の形状を見つけるサーチのFPMで使われる他、ハフ検出や直線近似など、位置決め・計測とは切っても切れない機能の一つです。一方で、調整・制御が難しいと言われてしまうこともありますが、原理を理解してポイントを押さえれば、決して扱い辛いものではありません。今回はその助けとなる可視化ツールとしてWIL-Builderプラグインも作成しましたので、あわせてご紹介します。

 

 

はじめに

相関エッジ検出を理解するには、画像上での形状の輪郭(エッジ)をどのような現象として定式化しようとしているか、いわば「エッジの定義」から始まります。

1次元エッジ検出やSobelエッジ検出などの他の多くの手法では微分の発想が根底にあります。エッジとは明るさの変化が大きい箇所と考えて、変化の度合いを微分値として計算しています。

一方で、相関エッジ検出では微分を使っているわけではないことが大きな違いです。明るさの変化をグラフで表現したときに切り立った崖のような形状になっている箇所をエッジと考えています。シグモイド関数はパラメータによって崖の切り立ち具合を可変できることを利用して、シグモイド関数が当てはまる度合いを相関値として計算しています。シグモイド関数のエッジ模様(シグモイド画像)をパターンとして正規化相互相関のグレイサーチを繰り返しているようなイメージです。

相関エッジ検出のパラメータを理解するにはシグモイド画像の理解が第一歩で、濃度プロファイルと見比べて相関計算をイメージできると直感的な調整に近づきます。そこで、これらの機能を持つWIL-Builderのプラグインとして相関エッジ可視化プラグインを作成しました。

今回はポイントのみご紹介しますが、お手元の画像で確認される際には、「ファースト製品 サンプルプログラムダウンロード」の「WIL-Builder」セクションの「WIL-Builderプラグイン」中からダウンロードしてご利用ください。

 


 

濃度プロファイルとシグモイド画像

相関エッジ検出のシグモイド画像は、大きさがフィルタサイズで、模様がシグモイド係数で決まります。
画像の各画素の周辺にシグモイド画像を当てはめて、その類似度(相関値)を計算します。各画素の周辺からフィルタサイズで切り出した画像とシグモイド画像を画像同士で見比べることで可視化できます。

段左図:シグモイド関数のグラフ(シグモイド係数kを変化させたときの様子)
上段右図:赤い線のシグモイド関数から作られるシグモイド画像(X方向)
下段:注目画素にシグモイド画像を当てはめて濃度分布の一致度(相関値)を計算するイメージ図

一方で、シグモイド画像はシグモイド関数の同じ模様に幅を持たせているだけではあるので、画像側を各画素周辺の濃度プロファイルに圧縮すれば、1次元で見比べられます。

下図の青色のグラフ:上図から計算した濃度プロファイル
下図の橙色のグラフ:上図の橙色の矩形に対応する範囲で描画したシグモイド関数

 

調整のポイント

相関エッジ可視化プラグインでは、対象の画像でエッジを検出したい位置の濃度プロファイルを見ながら、シグモイド関数のグラフが重なるようにパラメータを調整できます。また、画像の状況から目安値を計算できるパラメータについては、その補助機能もご用意しています。

相関エッジフィルタの長さ

シグモイド画像の長手方向の大きさです。X方向のエッジを検出するときには横方向の長さなので、パラメータ名としては幅のwidthとなっています。線状の両側のエッジを検出したいときには、線幅の2倍程度以下が目安になります。

ある程度の大きさにすることで、細い線状のキズなどを無視して対象物の外形のエッジのみを検出させることもできます。ただし、本来のエッジ位置の近くにノイズでの濃度変化があるときには、ノイズがシグモイド画像の範囲に入らないように小さくする方が有利な場合もあります。

プラグインでの線幅からのパラメータ計算補助機能


左図のように線幅より大きくなると線を跨ぐ部分の影響でシグモイド画像との相関値が下がるので
右図のように線幅の2倍程度以下が目安となる

対象物以外の細い線状のキズなどのエッジ検出を抑制する使い方のイメージ

相関エッジフィルタの高さ

シグモイド画像の長さに直交する方向の大きさです。X方向のエッジを検出するときには縦方向の長さなので、パラメータ名としては高さのheightとなっています。濃度プロファイルの計算では幅として扱います。

通常は推奨値の5程度を使用しますが、長さを推奨値の13程度から大きく調整しているときには長さの3分の1程度が目安になります。大きくするとノイズ抑制に効果がありますが、斜め方向のエッジの検出性能は下がる傾向がありますので、バランスを見ながら調整することになります。

プラグインでの長さからのパラメータ計算補助機能

シグモイド係数

シグモイド画像の長さの方向のグラデーション模様でエッジ模様を決めます。

濃度プロファイルでのエッジの切り立ち具合に重ねて描画されるシグモイド関数が一致するように、エッジがボケているときには0.1などに小さく、2値画像のように鮮明なときには10などに大きくしていきます。

青色の線が濃度プロファイル、橙色の線がシグモイド関数のグラフ
左図:シグモイド係数が1のときで青色の線と橙色の線はあまり重なっていない状態
右図:2色の線が重なるようにシグモイド係数を5に調整した状態

 

斜めのエッジでは、シグモイド画像の中のグラデーションが斜めになり、X方向まはたY方向のエッジよりも相関値が下がりやすい傾向があります。この現象は濃度プロファイルでは、エッジ部分の傾きがなだらかになることで観察できます。

左図:横方向のエッジにシグモイド係数を合わせた様子
右図:斜めのエッジでは濃度プロファイルはなだらかになり、少しズレて見える様子
(分かりやすさのため、フィルタの高さを大きめに設定)

強度閾値

エッジ模様のシグモイド画像との類似度として計算した相関値に対する閾値です。

他のエッジ検出での呼称にあわせて、パラメータ名としては強度となっています。相関値の0~100%の範囲を0~255の範囲で表しています。推奨値の160は60%強に対応します。

実際には、全てのエッジの切り立ち具合は一定ではないので相関値が100%になることは極めて稀です。斜め方向のエッジも、XまたはY方向のシグモイド画像に対して斜めのグラデーションになるので、相関値は下がります。また、検出したいエッジの近くにエッジ以外のノイズでの濃度変化があれば相関値が下がります。

グレイサーチのパラメータと調整するときのように、オーバーフィッティングにならないように随時エッジ検出結果を確認しながら調整すると良いです。

左から順に強度閾値200、240、250のときのエッジ検出結果
〇マークの上下左右以外や右下の×マークなどの45度方向から順に検出されなくなっていく様子

分散閾値

対象物と背景の間のエッジの段差の高さに対する閾値です。シグモイド画像の範囲で計算する濃度分散値を使用するため、パラメータ名も分散閾値となっています。

シグモイド画像との類似度の相関値は正規化して計算されるので、濃度差の大小は無視されます。このため、薄すぎる濃度差の変化まで検出してしまわないようにするための閾値として機能します。

対象物と背景の濃度差を2乗して4分の1すると、簡易的に分散値に換算できます。実際の計算より大きくなりやすいので、この換算値を少し小さくした値が目安となります。

ノイズ抑制で調整するときには、初期値の25から始めて、検出してしまっているノイズから計算した目安値を目標に、検出したいエッジが取れなくならないことを確認しながら上げていくと良いです。

プラグインでの濃度差からのパラメータ計算補助機能

左図は分散閾値25、右図は分散閾値3000のときのエッジ検出結果
背景が暗くなってマークとの濃度差が小さくなる画像左側のエッジが検出されなくなる様子


 

まとめ

今回は相関エッジ検出について改めて振り返りました。

エッジ検出は、サーチや計測などの画像処理の基本機能の一つです。他の多くの手法は微分を使いますが、相関エッジ検出はシグモイド関数を用いてエッジをモデル化する独自の手法です。

一方で、パラメータ調整が難しいというお声もしばしば頂戴します。この難しさの要因の一つはシグモイド関数の形状が画像上のエッジと結び付けて直感的に想像しづらいことではないかと考えました。この課題を解消すべく、濃度プロファイルとシグモイド関数を見比べられる相関エッジ可視化プラグインを作成し、ご提供を始めました。また、ライブラリのリファレンスに記載もありますが、主要なパラメータの効果と調整方針もあわせて本記事に再度整理しましたので、みなさまの日々の画像処理でお役立ていただければ幸いです。

今回は相関エッジ検出をご紹介しました。今後もパラメータ調整を支援する機能の拡充を進め、より使いやすい開発環境の提供に努めてまいります。ご意見やご要望がございましたら、お気軽にお寄せください。

参考文献

2006年12月:シグモイド関数との相関によるエッジ抽出(ViEW2006)

 

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