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医療機器装置の改善ポイント
【検体検査装置編】
検体検査装置は、正確な結果を得るために繊細な温度管理が不可欠であり、従来の手法では温度の均一性や精密なコントロールの難しさが課題となり、これが検査結果の信頼性に影響を与えています。
この記事では、健康診断やウイルス検査などで利用される検体検査装置における課題とその解決策に焦点を当てながら、医療機器の開発、製造への取り組みを強化している東京エレクトロンデバイスの検体検査装置向けの温度管理ソリューションについてご紹介します。
検体検査における温度管理の課題
医療の現場では、検体を保管するための温度管理が極めて重要です。しかし、外気温などの周辺環境の影響により、一定の温度を保持することが難しいという課題が存在します。
温度管理には、安定した温度を保持するだけでなく、規定の温度からの逸脱を検知し、報告する仕組みが必要であり、さらに逸脱した温度を規定値内に戻すための対応も必要です。
従来の温度管理の一般的な方法としては、以下の方法がありますが、精密な温度コントロールはほとんど行われていないのが現状です。
- 保温BOXでの保管
- サーキュレーター+ヒーターによる温度保持
スマートAFEを使用した温度管理ソリューション
東京エレクトロンデバイスではTexas Instruments社の提供するスマートAFEを使用した熱電冷却(TEC)制御を実現するためのソリューションをご提案しています。
閉ループ制御を実現するために多くのディスクリートコンポーネントを必要としていた熱電冷却を、シングルチップで入力・処理および制御を提供し、-40°C ~ 125°C の産業用温度範囲全体で動作可能です。
Texas Instruments社製 AFE539A4 の特徴
- 10 ビット、クワッド・チャネル
- 比例積分 (PI) コントローラとしてあらかじめプログラムされたステート・マシンを内蔵
- マルチフ ァンクション GPIO、関数生成、NVM の機能を使用し、プ ロセッサレス・アプリケーションと設計の再使用を実現可能
- 3mm x 3mm パッケージ
以下は、温度管理を行うための回路構成ブロック図の例です。
温度管理モジュール 一般的な回路構成ブロック図
- 検体容器の温度をペルチェ素子で制御
- 温度センサからの信号をフィードバックしPI制御により設定温度に保ちます
※各種表記デバイスは一例となります。
温度管理モジュール オペアンプ回路による構成ブロック図
温度センサにLMT70, Hブリッジ回路のかわりに昇降圧電源TPS63020を採用し、フィードバック回路をOPA2388で構成した例になります。
*¹ LMT70 のデータシート、製品情報、およびサポート | TI.com
*² TPS63020 のデータシート、製品情報、およびサポート | TI.com
*³ CP60131H Datasheet – Single-Stage Peltier Modules | Peltier Devices | CUI Devices
温度管理モジュール AFE539A4による構成ブロック図
フィードバック回路にAFE539A4を採用した構成例になります。回路構成がシンプルになり部品点数と基板面積が削減可能となります。
*⁴ AFE539A4 data sheet, product information and support | TI.com
温度管理モジュールによる高精度な温度制御の実現
以下の図は温度管理モジュールのイメージと概略仕様です。前項で示したブロック図から実際にデモ機を作成し、実機評価を行いました。
こちらのデモ環境下では高精度での温度管理が実現できることが確認できております。温度管理モジュールの詳細についてご興味がありましたら是非東京エレクトロンデバイスへお問い合わせください。