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アートワーク作業とは?
電源 GND層と多層基板

手放せなくなったスマートフォン、自動車、大型の産業機器、宇宙ロケットに至るまで、さまざまなものに、電子部品が搭載された基板が組み込まれています。回路図作成後、基板にパターンを描くアートワーク作業について、初心者にもわかりやすく解説します。第二弾です。

 

 

電子部品の“土台” 基板のいろいろ

電子部品を実装するのは、基板です。この基板は、文字通りに言えば「板」であり、その形状や材質は幅広く変化します。

例えば、フニャフニャしたフレキシブル基板から、厚さが何センチもあるもの(1.6㎜厚が一般的)まで、多種多様です。基本的な構造は、「導体層」と「絶縁層」で成り立っており、通常、銅が導体層で使われます。

アートワークパターンを作成するのは、この「導体層」になります。

 


 

基板層数の重要性

アートワーク作業からは少し逸れますが、基板は「導体層」と「絶縁層」を積み重ね、設計および製造されます。導体が1層で絶縁が1層の基板は片面基板となり、絶縁が1層で両面に導体が付いている基板は両面基板と呼ばれます。

 

層数が少ないほどコストは低くなりますが、前回説明したように、1層のみではパターン作成(結線)が不可能な場合、層数を増やす必要があります。片面基板を除くと、層数は一般的に偶数とされ、以下は4層基板です。


 

電力管理とパターン設計の必要性

FPGA、CPU、DSPなどのICは、電圧が印加されることで動作します。これらのデバイスはプロセスの進化に伴い、機能や性能が向上していますが、その進化と共に大量の電力を必要とします。

パターンが細い銅線では多くの電流を流すことができなくなり、その結果、電圧低下や不安定な状態が生じ、動作が不良になる可能性があります。そのため、電圧を安定させるためにコンデンサなどを使用し、回路図を設計しますが、パターンの設計も同様に重要です。

また、電源GND用に幅の広いパターンを作成すると、他の信号線の引き込みが難しくなる可能性があるため、以下のように各層のメインとなるパターンの種類を決めて作業を行うことが一般的です。

 


 

​実例でみる!基板の具体例

信号線層の例をご紹介します。これは12層基板の3層目で、ネット名:N21193647などが接続されています。ここでは、電気的な接続が確立され、HIGHレベルとLOWレベルが判断されるよう、細いパターンで接続されています。

 

信号線層の例信号線層の例

 

次に、電源GND層の例です。同じ基板の2層目に位置します。この層では電圧を安定させるため、全面に広がるパターン(太いパターン)が採用されています。

 

電源GND層の例電源GND層の例

 


 

複雑な電源設計

基板の仕様として、例えば3.3Vの単一電源であれば、基板の2層目を3.3Vに、3層目をGNDに割り当てることで問題はありませんが、最近のデバイスでは複数の電源系統が必要になることが増えています。

基板の層数を増やす方法もありますが、それによって基板のコストが上昇し、物理的にも基板の厚みが増すことになります。

必要最小限の層数で複雑なパターンを引き出すことは、アートワークエンジニアの技量が問われる部分です。以下の例では、パターンを用いて十分な電流が確保されるように、5層では2.5Vと1.2Vを混在させ、6層では1.5Vの電源と信号線を混在させています。

5層の例

5層の例

 

6層の例

6層の例

 


 

終わりに

アートワーク作業について、導体層に加えて絶縁層も重要な要素です。絶縁層には均一性、特性、強度、耐久性など多岐にわたるパラメータがあり、システムの要求仕様を満たす適切な素材を選択する必要があります。最近のサプライチェーンの問題により、材料の入手性も懸念されています。

さらに、パターン設計に関連して、インピーダンス制御、等長配線、電源解析、信号品質解析、効率的なデバック作業のためのシルクなどがあります。また、基板製造に関わる部分では、穴の精度、メッキ技術、捨て板のカット方法、面付なども検討すべき事柄です。

アートワーク作業は多岐にわたる要素が複雑に絡み合っています。これは単なるコーディングや回路図作成とは異なり、立体的な視点で対処する必要があります。問題を一つずつ解決し、高品質な基板を製造するための作業が求められます。

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