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生産現場 予知保全・品質改善
MT法の解析業務をもっと簡単・迅速に
時系列データ自動分析マシン CX-Mを使った業務改善方法
量産品質の監視・改善業務が変わる!
品質工学の学問体系
品質工学は、製品やサービスの品質を向上させるための学問で、統計的手法などを用いて、製品やプロセスの最適化を図り製品の信頼性や効率性を向上させることができます。主要な方法として、パラメータ設計、オンライン品質工学、MTシステムの3つがあり、今回は「MTシステム」に注目します。
MTシステムとは
MTシステムは、正常なデータ群(単位空間)を基準にして、評価対象サンプルとのマハラノビス距離を計算異常検知やパターン認識を行う手法である「MT法」と、多変量データを用いて近似式を作成し応答変数に影響を与える要因を特定する「T法」からなります。
今回は、「MT法」について話を進めます。
MT法とは
単位空間(例:正常範囲)に対する異常スコアの計算です。
データの特徴を数値異常だけではなく、相関異常の場合も含めて異常なデータを検出するのに非常に有効な手段です。
MT法の業務課題
実際のMT法の作業は、以下の8ステップに分けることが出来ます。
1~3はデータ準備、 4~7がモデル作成(マハラノビスの距離算出)、8で事象を理解します。業務課題は、主に4~7のモデル作成作業プロセスで直面します。
解析作業手順 8ステップ
課題1. 探索的なモデル作成作業
一般に、MT法を用いて1つのモデルを作成する過程では、異常検出の際のデータ取得とモデルの精度向上が課題となり、未知の異常を検出する感度が重要になります。
このため、いかにフィットした単位空間を作成できるのかがポイントです。
フィットした単位空間作りには、ノイズデータの除去、相関構造を意識した特徴抽出や変数選択、既知データ、未知データを使ったテストなど繰り返しの探索が必要なります。
課題2. レシピ(製造条件)単位で作成
MT法の単位空間は、各データ項目間の分布に従った相関構造を基に異常スコアの計算が行われます。
しかし、レシピ(製造条件)が異なれば、正常データ群である単位空間のデータの傾向も大幅に異なることがあります。その場合、データを混在させると相関構造が崩れて無相関になる場合があり、データの傾向が異なるものを一緒くたに扱うことはできません。
そのため、機種やレシピごとのモデル作成が必要となります。
課題3. 環境条件変更によるモデルのフィッティング作業
MT法のモデルを作成して、一度量産現場で監視を始めた場合においても、量産現場の環境変化や原材料の更新によって監視していたMT法のモデルがフィットしなくなってくる場合があります。
こうした場合、一から単位空間の作り直し作業が発生し、都度現場にあったモデルを配置していく必要があります。
課題を解決するデータ分析マシンCX-Mとは
CX-Mは異常検知・要因調査・状態診断の3つのテーマに対応した自動データ分析マシンです。
人で行う分析作業をソフトウェアで自動化し、製造現場のデータ活用をサポートしています。
今回のテーマである、MT法のデータ解析作業もCX-Mで簡単、迅速化することができます。
【1台で3役をこなす機能】
CX-MがMT法作業を簡単・迅速化
CX-Mを利用することで、MT法の作業を簡単・迅速化することができます。特に繰り返し行うデータ解析作業のプロセスで大きな効果を発揮します。以下の図は、MTシステムとCXシステムの作業の進め方の違いを表しています。
MTシステムは、各ステップ毎に探索的な作業が発生します。期待する結果が得られなかった場合は、別の観点でやり直すことを繰り返す必要があるため、作業者負担は大きくなります。
CX-Mは、そうした探索作業をソフトウェアが人に変わり、自動で探索作業を行い、与えられたデータを使って最良と考えられるモデルを自動生成します。
ソフトウェアが行う処理は、人が行う作業と同等のため、同質の結果を簡単・迅速に得ることができ、作業者は作成されたモデルをもとにした現象の理解の作業に時間と労力を使うことができます。
ワンクリックで作業完了できる理由
CX-Mでは、データ分析作業が簡易なユーザーインタフェース画面から実施可能です。また、その後の未知データの評価においても、自動評価が行われます。ユーザーインタフェース画面の一部をご紹介します。
追い込み作業も簡単・迅速
CX-Mでは、分析結果を残したまま、単位空間に使用する選択データを変更し再分析も可能で、使用するデータ項目列やデータ項目から抽出する特徴方法を変更することもできます。こうした作業の容易さで、追い込み作業も簡単かつ迅速になります。
MT法の業務課題をお持ちの方は、是非お問合せ下さい。
用語集
- 特長項目
- データの特徴・特性を定量的に表した数値。特徴量と同義。
- 真値
- 測定済みで値が判明している目的変数。
- 学習データ
- モデル作成用データ
- SN比
- システムや部品の素性の良さを示す(単位空間や真値からの距離を示すスコア値)
- MD値
- マハラノビス距離(数値異常や相関異常を特定できるスコア値)
- 相関行列
- 特徴項目間の相関係数を行列で表現したもの