導入事例
生産現場 人手作業の自動化
リサイクル工場における重筋作業の低減を目指して
- ご提案製品
-
工程作業連動コントローラー TriMath(トリマス)
製品情報を見る
- JFEアーバンリサイクル株式会社様
JFEアーバンリサイクル株式会社は、使用済み廃家電から有用な部品を回収し資源の有効利用を行っています。入荷量の増加に伴い人手不足が大きな課題となっていた同社は、洗濯機の解体レーンに不定形物ピッキング・デパレタイズロボットシステムを採用しました。
課題
- 人材不足
- 重筋作業の低減、作業者の安全確保
- ラインの省力化
成果
- 重筋労働の低減
- 1名の省力化
- 作業の安全性の向上
特徴
- ピッキング・デパレタイズ作業をロボットにより自動化
- 独自の画像処理によりサイズ情報を事前登録することなく、さまざまな形状に対応
- AI技術により対象物の特徴を抽出、自動でレーンへの振り分けが可能
インタビュー
最優先課題は「危険な重筋作業を減らす」こと
神奈川県最大級のリサイクルプラントである、JFEアーバンリサイクル株式会社は、2001年に施工された家電リサイクル法に基づき、家庭や事業所から排出される使用済み廃家電から有用な部品・素材を回収、再製品化を行っています。資源の有効利用という観点からも、現代社会において重要な役割を担っており、近年増加する国内での処理量に伴い、リサイクル現場では、その対応に向けて、様々な設備を整えています。
同社では、2018年に発表された中国の金属雑品の輸入禁止により、入荷量が25%も増加する一方で、危険が伴う重筋作業により、人手不足が深刻な問題となっていました。
リサイクルの対象機器である洗濯機の解体レーンでは、1日平均700台、年間約21万台の解体作業を行っています。平均で40kg、最大100kgにもおよぶ重さの洗濯機が3段に積み上げられ、平均で18台が積まれたコンテナが入荷されます。解体作業は、この洗濯機をコンテナから取り出す「ピッキング」、そして指定されたレーンへ置く「デパレタイズ(積まれた荷物を降ろす作業のこと)」から始まります。洗濯機はメーカーや製造時期により形状やサイズが異なるため、従来のロボットシステムでは自動化が困難となり、作業は全て人手に頼るしかありませんでした。このような危険な「重筋作業」を解消し、ロボットによる自動化に変えることが、TriMathを採用した最大の目的でした。
平均18台もの洗濯機が積まれたコンテナで入荷
洗濯機を自動でピッキングするロボット
人の目に代わり自動化へ
AI技術により指定したレーンへ自動で振り分け
ロボットによる自動化の検討を始めたのは、伊吹氏が同社へ異動となった2017年4月のことでした。最大で100kgにもおよぶ洗濯機を人が運ぶ危険な作業を見て、「すぐに何とかしなければならない」と危機感を抱きました。
伊吹氏は早速、数社にヒアリングを始めましたが、「技術面で実現が難しい」、「予算面で折り合いがつかない」ということが続きました。そんな中、「予算内で実現します」と提案した会社が東京エレクトロンデバイス(以下、TED)だったのです。
ーーー「採用に至った決め手は、予算内で実現できると提案いただいたこと。また、工場での実機テストにも十分時間をかけ、問題点があれば徹底的に潰していき、常に高い完成度を目指す研究開発姿勢にも共感しました。」(伊吹氏)
TriMathは、コンテナに雑多に積まれたさまざまな形状の洗濯機を、上部に設置したプロジェクタによりパターンを投影、独自の画像処理によりカメラにそのパターンを取り込むことで洗濯機の位置と形状を3次元認識し、高い順からピッキングを行います。その際、洗濯機の形状を事前に登録する必要がないため、導入・運用コストの大幅な削減を可能にしました。
また、同社ではドラム式洗濯機や全自動洗濯機など、ピッキングした洗濯機の種類を人が目視で確認し、タッチパネルを操作することで、指定したレーンへ振り分けていました。しかしながら、この作業を毎回人手で行っていたのでは時間がかかってしまいます。そこで導入されたのがファースト社のAI技術でした。
ーーー「AI化の提案にも積極的に協力いただき、短時間、低コストでのAI実用化に成功しました。」(伊吹氏)
ファースト社の画像処理技術とAI技術を活用し、様々なタイプの洗濯機の画像を約1万枚学習させることで、人工知能が学習データから洗濯機の特徴を抽出し、指定されたレーンへ振り分けることに成功しました。ピッキング・デパレタイズ作業の自動化だけではなく、振り分けの自動化も実現することで、現場の作業負担を大きく軽減したのです。
モニター画面の様子
■マークの形 △:ピッキング(正常品) ×:ピッキングしない(排除品)
■マークの色 青色:ドラム式洗濯機 緑色:ドラム式洗濯機以外
一番の成果は現場作業者からの安心の声
今回TriMathを採用したことで、重筋労働の低減、さらに1名の省力化にも繋がりました。何よりも、以前は手作業で行っていた現場の作業者より、「安心した」、「作業が楽になった」と喜んでもらえたことが一番の成果でした。
ーーー「2015年5月にフィンランドで、AIを使って建築廃材を選別するロボットを初めて見たときに、これからはロボットとAIの時代だと確信しました。それから4年が経ってしまいましたが、このようにして一緒に夢が実現できたことを非常に嬉しく思います。これからも工場のロボット化、AI化は最優先課題として取り組んでまいります。」(伊吹氏)
動画
お客様プロフィール
- 会社名
- JFEアーバンリサイクル株式会社
- 所在地
- 神奈川県川崎市川崎区水江町6番1号JFEスチール(株)東日本製鉄所(京浜地区)内
- 設立
- 1998年12月
- WEBサイト
- https://www.urrec.co.jp/
JFEグループの多様な技術と豊富な経験で得た、高効率、高品質の解体・選別技術を駆使し、循環型社会の実現へ向け貢献しています。2001年に施工された家電リサイクル法に基づき、家庭や事業所から排出される使用済み廃家電から有用な部品・素材を回収し、資源の有効利用を行っています。
ご担当者様の声
工場長
伊吹 一省氏
JFEアーバンリサイクル株式会社は、使用済み廃家電から有用な部品を回収し資源の有効利用を行っています。入荷量の増加に伴い人手不足が大きな課題となっていた同社は、洗濯機の解体レーンに不定形物ピッキング・デパレタイズロボットシステムを採用しました。