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オプトエレクトロニクスを活用した医療機器開発
医療機器の開発現場では、センサー選定やLED設計が製品精度や認証のハードルに大きく関わってきます。amsOSRAM社のセンサー/LEDソリューションは、測定精度と実装性を両立しながら、開発リスクやコストの最小化に貢献します。
本記事では、動脈血酸素飽和度(SpO₂)や心拍数測定といった医療アプリケーションにおけるamsOSRAM社製品の活用例と、導入によるメリットをわかりやすくご紹介します。
目次
オプトエレクトロニクスとは
オプトエレクトロニクスとは、光学(オプティクス)と電子工学(エレクトロニクス)を組み合わせた技術領域です。光の波長は放射線(ナノメートル)から電波(メートル)と非常に広範囲にわたり、その特性を応用したさまざまなアプリケーションが開発されています。
身近なところでは、人間の目に見える可視光のほか、人間の目では見えない紫外線や赤外線を利用したデバイスも大変有用であり、殺菌・光硬化・各種分析用途・温度測定などさまざまなソリューションに応用されています。
東京エレクトロンデバイスでは、主に可視光および紫外線を中心としたオプトエレクトロニクス関連の受託開発についてご相談を承っております。
本記事ではオプトエレクトロ二クスを活用し、先進的なセンサーソリューションを提供しているamsOSRAM社の製品から医療機器への代表的な適用例をご紹介します。
適用例1. 動脈血酸素飽和度(SpO2)の計測
パルスオキシメータの原理
指先に赤色と赤外光を照射しセンサーが透過光量を測定し、動脈血酸素飽和度(SpO2)を算出します。
肺から取り込まれた酸素は、血液中のヘモグロビンと結合することで体中に酸素を届けています。
酸素と結合したヘモグロビンを「酸化ヘモグロビン(HbO2)」を呼び、反対に酸素と結合していない「還元ヘモグロビン(Hb)」とよびます。
センシングされた光量(イメージ)
センサーが受け取るR/IRの比率が分かれば、HbO2とHbの比率、つまり酸素飽和度が分かる
酸化ヘモグロビン(HbO2)と還元ヘモグロビン(Hb)では赤色光と赤外光の透過量に差があります。透過量の差をもとに赤血球に含まれるヘモグロビンにどのくらいの酸素が結合しているかを計測することで、動脈血酸素飽和度(SpO2)を調べることができます。
適用例2. 心拍数測定光電脈波法(反射型脈波測定)
心臓が血液を体に送り出す際に発生する、血管容積の変化を波形としてとらえたものが「脈波」であらわされます。この容積変化を検知する装置が脈波センサと呼ばれます。
脈波(心拍数)計測には以下4つの方法があります。
- 心電図法
- 光電脈波法
- 血圧計測法
- 心音図法
光電脈波法で使用する脈波センサには測定方法の違いから「透過型」と「反射型」があります。
心拍数の測定方法
- 心電図法
- 光電脈波法
- 透過型脈波測定
- 反射型脈波測定
- 血圧計法
- 心音図法
- 透過型:体表面から赤外線や赤色光を照射し、血流量の変化を体内を透過する光の変化量として計測します。
- 反射型:赤外線や赤色光、 550nm付近の緑色波長の光を照射し、フォトダイオードまたは、フォトトランジスタ(PD)で反射した光を計測します。
反射型脈波センサーの仕組み
動脈血液内の「酸化ヘモグロビン(HbO2)」における入射光を吸収する特性を利用して、心臓の脈動に伴って変化する血流量(血管の容量変化)を時系列にセンシングし脈波信号を計測します。
動脈血酸素飽和度(SpO2)の計測に最適なLED
バイタルサイン・モニタリング向けLED
SFH 7018A & SFH 7018Bは、高反射QFNパッケージを採用し、放射強度が既存製品と比べて赤色と赤外線波長は約40%以上明るくなっており、緑色はSFH 7018Aバージョンで約80%、SFH 7018Bバージョンで約2倍以上明るくなっております。
FAEからのイチオシ!
SFH7018は、
- 洗練された2キャビティ設計により、一方の緑色チップと他方の赤色およびIRチップ間の干渉を低減
- 2つのキャビティにより光源をそれぞれのフォトダイオードに対して最適に配置。これにより、バイタルサイン(心拍数と血中酸素飽和度;SpO2など)の測定精度が向上します。
- SFH 7018は、次の2つのバージョンで提供されています。
- SFH 7018A:大電流での低い順電圧に最適化、高コストの昇圧コンバーターを使用せずに運用可能
- SFH 7018B:最大の放射強度に最適化
Optical Front End構成例
生体信号センサ アナログフロントエンド
amsOSRAM社 AS7058による高性能・高柔軟性ソリューション
- スマートウォッチ、スマートパッチ等小型機器に最適
- 心拍測定(HRM)や皮膚電気抵抗(GSR)などの測定可能
- 最大8つのLEDドライバー出力、 最大8つのPD入力のサンプリング、 外部電極をサポート
- 2つの光電式容積脈波(PPG)用および心電図(ECG)用のADCを搭載するほか、低ノイズのAFEを備え、PPGとECGの同時計測が可能
AS7058内部ブロック
構成例
主要機能
- 2 ADC (20-bit) for PPG acquisition
- 1 ADC (20-bit) for ECG/BIOZ acquisition
- 8 photodiode input pins
- 8 emitters driven by 2 drivers up to 300mA at 500mV
- PPG SNR up to 120dB FS (white card loop back test)
- Advanced ambient light offset cancellation (AAOC)
- Excellent ECG, CMRR ~ 118dB, Noise ~ 0.68µVRMS
- Power consumption down to < 20µA @ 25 SPS
- Package: 2.815 x 2.545 x 0.5 mm³, WLCSP, 42 pins
本記事でご紹介したように、オプトエレクトロニクス技術は医療機器の精度向上や小型化に大きく貢献しています。amsOSRAM社の製品群は、測定の正確性と設計の柔軟性を両立し、開発現場における課題解決の一助となるソリューションです。ぜひ製品選定のご参考にしていただければ幸いです。