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【注目】 AI時代の発展を支える半導体製造技術
「CPO(Co-Packaged Optics)」とは
先端半導体の技術の中でも微細化と並んで今後の半導体性能を大きく左右する、3次元実装技術。その構成技術のであるCPO(Co-Packged-Optics)について解説します。
CPO(Co-Packged-Optics)とは
CPO(Co-Packged-Optics) は、光学部品と半導体チップ(例: CPUやASIC)を同じパッケージ内に組み込み、電子の代わりに、光をデータ送受信に使うことで、データセンターや高性能コンピューティング環境などでのデータ転送速度の向上と、電力消費の削減に対応する技術です。
従来の技術では、電子と光を変換する光学部品は半導体チップから離れた場所に配置されていました。しかし、データ転送速度が上がるにつれて、この距離がボトルネックとなり、電力消費と遅延が増加する問題が生じていました。CPOは、この問題を解決するための技術の一つとして注目されています。
具体的には、CPOにより、光変調器*¹ や光検出器*² などの光学部品と、データを処理する半導体チップとが非常に近接して配置されるため、電気信号と光信号の変換に要する距離と時間が短縮され、高速かつ効率的なデータ転送が可能となります。
従来構造とCPOの比較イメージ
従来の方式 Pluggable Optics
Co-Packaged Optics
CPO採用の背景
CPO(Co-Packged-Optics)は現在主に、データセンターでのデータ通信技術として使用されています。データセンター向けで、CPO(Co-Packged-Optics)の普及が進んでいる背景には、以下のような要因があります。
- データの増加:現代のデータセンターやクラウドコンピューティング環境では、データの取り扱い量が急速に増加しています。これに伴い、データの転送速度や帯域幅の要求も増大しており、これを支える技術が求められています。
- 電力消費の問題:データ転送速度が増加すると、それに伴い電力消費も増加します。特に、長距離のデータ転送において電力消費は顕著になります。CPOは、電気信号と光信号の変換距離を短縮することで、電力消費を大幅に削減できると期待されています。
- スケーラビリティと性能:伝統的な光学接続技術では、データ速度の増加に伴って、電気-光変換の効率が低下する問題があります。CPOは、この変換を最適化して、より高いスケーラビリティと性能を提供することができます。
- フットプリントの削減:CPOは、半導体パッケージの中に光学部品を統合することで、全体のフットプリント(物理的なスペース)を削減します。これは、データセンターなどのスペースが限られている環境において、非常に価値のある利点となります。
- 技術の進化:半導体製造技術や光学技術の進化により、CPOのような先進的なソリューションが実現可能となりました。
これらの要因により、データセンター、通信インフラストラクチャ、高性能コンピューティングなどの分野で、CPOの採用と普及が進められています。
CPOの課題と展望
今後はAIや次世代通信技術の普及を受けて、データ通信量のさらなる増大が見込まれるなかで、現状の通信技術では指数関数的に消費電力が増えることが予想されます。
データ社会の進展に伴い、通信速度の向上とそれに伴う、消費電力抑えるという2つの社会課題を解決する必要がでてきます。
従来、光通信技術はインターネット通信等10kmを超えるような長距離通信で主に使用されてきましたが、データ通信量の増大とともに、500mほどの距離が想定されるデータセンサー内部の通信にも普及してきました。
今後は距離50cmのボード間の通信、そして距離5cmほどの半導体チップ間の通信でも、より低消費電力かつ高速通信が可能な光通信技術の採用検討が始まっています。
CPOは現在半導体チップ間の通信の実装技術として使用検討されていますが、今後はさらなる通信距離の短縮のため半導体チップと光部品の集合体であるシリコンフォトニクス*³ チップを直接接合する3D実装技術の研究も始まっています。
技術的な恩恵がある一方で、CPO(Co-Packged-Optics)技術のように、光学部品を電子チップと同じパッケージ内に統合する技術は、熱の発生や、製造プロセスの複雑さ、標準化の不足など普及のため解決しなければならない、いくつかの課題があります。
これらの課題にもかかわらず、CPOは次世代のデータセンターやネットワークインフラにおいて、高帯域幅と低消費電力の要求を満たすための有望な技術として今後さらなる普及が期待されています。
用語集
*¹ 光変調器:光変調器は、光の強度、位相、偏光などの特性を変化させるためのデバイスです。具体的には、電気的な信号を受け取り、その信号に基づいて光信号の特性を変調することで、情報を光の形式で伝達するのに使用されます。
*² 光検出器:光検出器は、入射する光信号を電気信号に変換するデバイスです。光通信、画像センシング、科学的な測定など、さまざまなアプリケーションで使用されます。
*³ シリコンフォトニクス:シリコンフォトニクスは、光学部品や光学回路をシリコンの微細加工技術を使用してシリコン基板上に作成する技術です。シリコン基板上に、光の伝播、検出、生成、変調などの各種光学機能を持つデバイスや回路を形成することができます。